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2008'02.02 (Sat)

バレンタインの落胆

(……わ、渡さなきゃ。プロデューサーにチョコ渡さなきゃ……
 かずちゃんにも応援してもらったんだし…お父さんも美味しいって言ってくれたし……)

「あっ、ゆきぴょん! ねぇねぇ廊下で何してんの?」
「あ。亜美ちゃん」
「んっふっふ~♪ 兄ちゃんにチョコあげるんでしょ?
 亜美はもー渡しちゃったよ。あのね、おっ○いチョコ!」
「亜美お待たせ~。亜美も兄ちゃんにお返し貰った?」
「うん貰ったよ! 兄ちゃんにしちゃ気が利くよね!」
「……亜美ちゃん、真美ちゃん。みんな、もうチョコレートあげたのかな?」
「んー、真美たちよりちょっと早くに、律っちゃんがきてたよ。
 あずさお姉ちゃんは、なんか手作りっぽいの持ってたよね、亜美?」
「うん。あとねあとね、いおりんちょー高そうなチョコ持ってた!」
「あっ、真美も見たよ! あれ美味しそーだったよね!」
「そっか…みんなもう渡してきちゃったんだ…」
「ゆきぴょんも作ってきてあげたの? 兄ちゃんココでしかモテないから義理でも喜ぶよ☆」

(……ど、どうしよう…みんなプロデューサーにチョコ渡し終わっちゃったみたい……
 …それに…やっぱり春香ちゃんやあずささんのチョコに比べたら美味しくないかも……)

***

「プロデューサーさん、はい。バレンタインのチョコレート」
「あっ、小鳥さん。ありがとうございます」
「一日で机の片隅がチョコレート売り場みたいになっちゃいましたね。
 駄菓子から高級チョコまで、よりどりみどりだわ」
「こんな職にでもつかなきゃ貰えない量ですよ。
 日頃のお礼でも義理でも、やっぱり貰えると嬉しいもんですね。
 ホワイトデーにはまだ早いんですけど、皆に渡しているので受け取ってください」
「まぁ、随分用意がいいんですね」
「来月のあの時期に出張が入ってるんです。
 お返しを用意しなかったら、賑やかに責め立てられるのは目に見えてるから」
「可愛いハンカチ。じゃあ、遠慮なくいただきますね。
 この様子だと、お返しを受け取るのは私が最後かしら?」
「いや…あと1つ残ってるんですけど、でも全員帰ったから、最後かもしれませんね。
 俺ももうあがります。小鳥さん、お疲れさまでした」

***

「……プロデューサー」
「…雪歩。どうした、帰ったんじゃなかったのか?」
「あ…えっと……えっと……な、何でもないです」
「帰るならついでに送るぞ?」
「だ、大丈夫です。…今日は、一人で帰れます」
「そっか。…来月のライブ、地方に行くだろ。向こうはまだ3月でも少し寒いかもしれないな」
「じゃあ、その時は、暖かいお茶飲みましょうね?」
「そうだな、そうしよう。じゃあ、お疲れ」
「お疲れ様でした、プロデューサー」


2人とも笑って別れました。でも何故か少しガッカリしていました
2人とも贈り物を持っていました。でも何故か渡せませんでした

半分は諦めていたのです。渡してはいけないような気がしていたのです
渡してしまったら、相手をとても困らせてしまうんじゃないかと思って――


雪歩のチョコは親友の手元に渡り、Pのお返しはカバンの奥で眠ったまま
何事もなかったように日常は戻ってきて、出張の日を迎えました

「空港に向かう前に、社長に電話してくる。このあたりの店で待っててくれるか?」

「わぁ、綺麗なブレスレット。でも売り切れみたい…」
「お客様、お目が高い。こちらのブレスは当店の人気商品でしてね。
 2重のチェーンと3連の雪結晶がとても綺麗な品でしょう?
 先月出たばかりなのですが、今ではずっと予約待ちの商品なのですよ」
「そうなんですか…。ちょっと欲しかったかも」

「雪歩、待たせて悪かった。行こうか」
「…もしや、お客様…?」
「え? 俺?」
「……ああやっぱり。またのご来店ありがとうございます。
 以前お店にいらした際、あちらの最後の1つをお買い上げになられたでしょう」
「プロデューサー、このお店に来たことあるんですか?」
「……いや…覚えてない」
「確か、揃いのチーフを12枚お求めになられましたな。
 それから間もなく戻られて、1枚お戻しになる代わりに、
 迷わずあちらの商品をお買い上げいただいたのです。
 あまりに真剣な様子だったものですから、よく覚えているのですよ」
「……そうでしたっけ」
「お買い上げになられたブレスはあれから人気が出まして、今や当店の目玉となっております。
 お連れさまも大変興味を持っていらしたから、てっきり存じているのかと――」
「い、行こう! 雪歩もう行こう!」
「え? あ、は、はいっ」

「やれやれ。……急いで出てきちゃったけど、搭乗まではまだ1時間もあるのか……」
「プロデューサー。あ、あの、…私、チョコレート作ってきたんです」
「えっ?」
「バレンタインに渡せなくて、かずちゃんにも笑われちゃって。
 あれからプロデューサー、みんなのチョコレート食べるのだけでも大変そうだったし…」
「ああ…小鳥さんのチロルチョコはまだ残ってるよ。
 春香のチョコレートケーキだって一緒に貰った社長と2人がかりで食べたんだ。
 ……でもどうして雪歩はくれなかったんだ?」
「ガッカリしましたか?」
「そりゃするさ。しないもんか。よりによって担当の子がくれないなんてガッカリも良いとこだ。
 社長から“萩原君の抹茶トリュフは絶品だったな”って聞かされて余計ガッカリしてたのに」
「私じゃ期待に添えられないかも、ってずっと思ってました。
 …チョコレートだけじゃなくて、色んなこと全部、
 プロデューサーをガッカリさせちゃうかもって思ってて」
「俺は雪歩からチョコをもらえなくてガッカリしてたのに?」
「それを聞いて今ちょっと安心しました」
「……まぁ、いいや。俺がガッカリして雪歩が自信ついたっていうのならそれで良いよ。
 ただ俺は、1つ余ったお返しをどうしようかここ一月ずっと困っていたんだ」
「…貰ってもいいですか?」
「ただでやるとは言えないな。そりゃチョコも欲しいけどさ。
 そうだな、これから行うステージを大成功させられるって言うなら――
 ……ああ、でも、そんな顔されちゃ聞くまでもなかったか?」

***

「萩原君も彼も、今頃は空の上かな。野外ステージらしいが、向こうはどうなんだね?」
「それならきっとぴったりな天気ですよ。なんたって今日は、ホワイトデーですもの」


初春のライブにも関わらず、ステージには小雪がちらついていました
銀色の冠をつけた聖夜生まれの少女は、そんなのお構いなしな満面の笑顔を向けて
ふりそそぐ声援を鼓舞するように掲げられた細い腕には、約束の――





【考察】雪歩スレ16-112・113 投下日:2008/02/02

<ノルマ:お茶が好き>

節分をひかえて、一足先にバレンタイン+ホワイトデーを展開しました。
バレンタインフォーユー(クリスマスフォーユーに対して後半組6人で構成)のイラストが
投下された影響もあって、冒頭で出てくるメンバーはその組み合わせになっています。

120行フルで使ったSSは今作が初めてで、かなりいろいろと考えることができました。
ホワイトデーが名前的にも適用できそうだったことと、
のちのち多用される「前半部で一度落とす」展開を使いたかったこともあって、
バレンタイン自体は、前振り的なイベントとして使用しました。

前半も後半も、かずちゃんがおいしいポイントを押さえてくれました。
投下後、社長と小鳥さんに高評価をつけられたのが印象にのこっています。
雪歩メインであっても、脇役が上手に書けるとうれしいものです。

「サブキャラの数と役割をふりわける」というテクニックはここで覚えました。
自分が1本のSSで扱えるキャラ数は、多くて5人くらいのようです。
00:00  |  雪歩  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

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