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2008'07.11 (Fri)

願いごと

「あら、プロデューサーさん。星占いですか?」
「暇つぶしに、あずささんに借してもらったんです。
 流石にオーディションの合否まで運勢に左右されるわけにはいきませんけど」
「足りない実力をカバーするのは、私たちの役目ですよ。
 アイドル候補生達を、とびきりのお姫さまにするのが765プロの仕事なんですから。
 そういえば、今日は雪歩ちゃんは?」
「第2回の新曲発表会の予定合わせに。
 今のペースだと、開かれるのは7月か8月あたりですかね」
「七夕の時期ですね。星に願いたくなるのも仕方ないわ。
 お姫さまはともかくとして、私にも素敵な王子さまが現れないかしら」
「お姫さまにもいろいろいますからね。眠ってるのも人魚なのも月に帰るのも…」

「ただいま、諸君。ようやくプランがまとまったよ。
 暑いからって落ち込んだ顔をせず、はりきって仕事にとりかかってくれたまえ」

***

「今日の私はダメダメでした…明日もきっとダメダメですぅ…」
「あらあら、雪歩ちゃんたら。星占いでダメダメな日が続くことはないのよ?」
「あずささん。でも、私、千早ちゃんとデュオを組むことになっちゃって…
 今日みたいにまた、レッスンの足を引っ張っちゃうんじゃないかって思うと…」
「千早ちゃんは歌のことで誰かを否定したりなんかしないわ。
 自分の歌に対しては、とても真面目で厳しい子だけれど、
 お互い足りないものを補えたら、とても素敵なデュオになるんじゃないかしら」
「はぁ…。お星様にお願いしたら、ちょっとでも歌が上手くなるでしょうか」

***

「千早。まだ事務所に残ってたのか。もうレッスン室は閉められただろう?」
「萩原さんと屋上にいたんです。発表会まで、もうあまり時間もありませんし。
 部屋に籠もってしまうよりは、外に出たほうがのびのび歌えると思って」
「あんまり無理はするなよ。
 2人とも時間を忘れるまでレッスンに根を詰めるからな」
「ありがとうございます。萩原さんはまだ上にいると思いますよ」

「……あ。プロデューサー」
「居残り熱心なのは構わないけど、屋上でうたた寝は風邪ひくぞ?
 “本番までに雪歩の風邪が治りますように”なんて願いは笹に吊るしたくないな」
「ごめんなさい。…なんだかぼーっとしちゃいました。
 千早ちゃんみたいに上手にできなくて」
「そりゃそうだろう。雪歩は雪歩で、千早じゃないんだから」
「千早ちゃんの願い事ってなんでしょう?」
「そうだなあ。それは千早じゃないとわからないかもな」


――願い事を叶えるのは、箒星だけではありません

“わたしには勇気がないんだ。百獣の王なのになんて駄目で情けないんだろう”
“わたしと一緒に行きましょう。オズの魔法使いに願いを叶えて貰うの”

臆病なライオンは、目の前の女の子をキラキラした宝物でも見るように眺めました

“きみの願い事はなんだい?”
“わたし、故郷のカンサスに帰りたいの。そこにはわたしの家族がいるんだもの!”

――それは遠い遠い世界の、ライオンと女の子のおとぎ話
 
叶う願いも、叶わない願いも。笹に吊るされ、星の下で揺れて
ある時ふと屋上で、雪歩は千早に尋ねました

「千早ちゃんは短冊に何をお願いしたの?」
「私は書かなかったわ。書いたらなんだか、代わりにまた何かを失う気がして」
「書かなかったの? でも、願い事はあるんだよね?」
「ええ。逢いたい人がいるの。でも今はまだ逢えないの。
 もしも本当に願いが叶うのなら、私は歌えなくなっても構わない」
「えっ!?」
「でも、やっぱりそんなこと有り得ないわね。
 歌わなくなった私なんて、きっと誰も必要としないもの」
「……そんな事ないよ。千早ちゃんは千早ちゃんだもん。
 歌わなくなったくらいで要らなくなるくらいなら、そんなの大事な人じゃない」
「……萩原さん?…ごめんなさい、怒って…」
「そんな願い事なんかしないで。…だって、千早ちゃんは、人魚姫でもなんでもないのに…!」

***

「珍しいな。雪歩がステージと離れたところで熱くなるなんて」
「…だって、千早ちゃんが…」
「千早の逢いたい人は、たぶん空のうんと高いところに居るんだ。
 星になったら逢えるかもしれないけれど、千早はそんなに弱い子じゃないよ」
「……え?」
「天の川も、流れ星も。ランプの精が現れても、サンタクロースが来ても。
 どんなに偉い神様だって、千早の願いは叶えられないんだ」
「…そんなの酷いです…」
「でも、雪歩には叶えられるかもしれないよ。
 その為にはまず目薬がいるな」
「……目薬?」
「だってそうだろ? 目が赤いままじゃ謝りにもいけないじゃないか」

***

「ねぇ、萩原さん。ステージの上には何があるの?
 ステージの上にあがると、萩原さんは別の人みたいに変わるから。
 いつもの萩原さんじゃなくて、活発で勇気がある子に変身しちゃうみたい」
「う、うん。…自分でも良く覚えてないの。いつも迷惑ばかりかけてるの」
「そんなこと無いわ。私は隣にいて、ちょっと不思議に思ってただけ。
 袖で見ているよりずっとずっと輝いてた。
 きっと、いつも夢を見てるのね。ステージの上にあがると目が覚めるんだわ」
「夢?…私、早く寝ちゃうから、居眠りはそんなにしないよ?」
「3人が帰ってくる。さあ、行きましょう。
 悪いリンゴの夢も、ステージの上ならきっと覚めるわ」


「良かった。あの2人はどうやら立て直したようだな」
「燃え尽きるのは星の最期ですからね。あの2人はまだ輝き始めたばかりですよ。
 軌跡が尾を残していくなら、3度願いを繰り返すことだって容易いでしょう」
「何を願おうか。我々に祈る時間はいっぱいありそうだが」
「そうですね。……強いて言うなら、今夜の空が晴れていてくれれば――」


太陽が6000℃の熱をもって地上を照らす真夏
会場が大いに盛り上がる中、空には星が姿を現していました

夜空の黄道を、ライオンが駆けるその先には、1人の美しい娘がいます
茶色い鬣を懸命に揺らして駆けてくるライオンと共に、少女は舞台に上がります

しし座のレグルスは13000℃の、おとめ座のスピカは27000℃の高熱の一等星
もっとも熱を帯びた青白色の二つ星が会場を灼熱の熱気に包みこむまで、あと僅か――





【考察】雪歩スレ22-397・398 投下日:2008/07/11

<ノルマ:ML04(inferno)>

ML02に続いて04でも千早と組むことになったので何か…と考えすぎて
テーマを詰め込み過ぎてうまくまとめきれなかった印象があります。

・inferno(雪歩+千早)
・夏の黄道12星座(しし座+おとめ座)
・オズの魔法使い(ライオン+女の子)

inferno=灼熱=高温=最も温度の高い星=おとめ座のスピカ
=夏の12星座=しし座とおとめ座=オズの魔法使い=勇気のないライオン
=勇気が欲しいライオン(雪歩)+家族のいる場所に戻りたいドロシー(千早)

1テーマから複数のテーマを作ろうとした結果、結合力が薄まる一方になってしまい
強引にネタをつなげるのはよくないな、と感じた作品です。

これ以降、中に込めるテーマはひとつかふたつを目安にしています。
何度も読み返さなくても、テーマがすんなり受け入れられる文章を模索していました。
00:00  |  雪歩  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

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