All archives    Admin

07月≪ 2017年08月 ≫09月

12345678910111213141516171819202122232425262728293031

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:--  |  スポンサー広告  |  EDIT  |  Top↑

2009'05.22 (Fri)

流れ星(1/3)

「ね、プロデューサー。今日のステージはどうだった?」
「完璧だよ、伊織。サイン入りの風船もCDも在庫ゼロだし、ファンの伊織ちゃんコールも最高だった」
「コールってアンタ、あれ子供たちの絶叫だったじゃない。いおりちゃぁぁぁーん!!!って」
「遊園地のほかのアトラクションにも引けを取らなかったぞ」
「お化け屋敷と一緒にしないでよ。そもそも私は歌のお姉さんじゃないんだから」
「もっと若手じゃないファン層を拡大したいってことか」
「そうよ。お目が高いファンに、私をお高く評価してもらいたいの」
「むずかしい要求だな……」
「むずかしいってことないわよ。私にふさわしい舞台と観客を用意するのがアンタの仕事でしょ。
 子供相手のステージって喉が渇くの。私にふさわしいジュースをダッシュで買ってきてくれない?」

***

「おそいわよプロデューサー! 人が大変なときに、どこ行ってたの!」
「いや申し訳ない。そこで熱い伊織ファンを見かけてな。つい話しこんでしまったんだ」
「言い訳はいいわよ。ねえ、今度はもっと予備の風船を用意しといてくれない?」
「突然どうした? 風船なんてさっさと配って終わらせたがってたじゃないか」
「べ、別にいいじゃない! 運のわるいファンが、私があげた風船、空に逃がしちゃったのよ。
 わざわざ私のとこにきて、ずうっとメソメソされたら、パパやママじゃなくても心が痛むわ」
「わかった。次回からは手配しよう。その子はよっぽど風船好きな子だったんだな」
「ホントよね。あんなものどこでも売ってるのに、『いおりちゃんのふうせんが良い』って――」
「へー。そりゃまたずいぶんお目が高いファンじゃないか」
「なっ、なにバカなこと言ってんの! それより自分たちの手落ちを反省なさいよね!
 私のステージにケチがついちゃったじゃない。着替えたらさっさとマッハで帰るわよ!」

***

「どうした伊織。マッハで帰ると言ってたわりには、勢いがないぞ」
「……ステージにケチがついちゃったわ。風船ひとつ足りなかったおかげで」
「伊織の手落ちじゃないさ。ファンがひとり泣いてしまったのは、俺たちスタッフのせいだよ」
「手落ちじゃないわ。でも今日のステージをいちばんお高く見てくれたファンはあの子よ。
 私が与えた安っぽい風船を、宝石とか流れ星みたいに思ってくれたんだもの」
「チャンスの女神様としては、次の機会を与えたくなったわけだな」
「そうよ。なんでもない顔をして、ニコッと笑って次を与えてあげたかったの。
 あんまりうまくやれた自信がないわ。与えられる流れ星がひとつもなかったんだもの」
「なあ伊織。まだ時間はあることだし、遊園地の迷子センターに立ち寄ってみないか」
「なんで迷子センター?……そういえばアンタ、さっき熱いファンと喋ったとか言ってなかった?」
「あんまり真顔で熱く語るもんだから、流れ星の行き先は訂正しなかったんだ。
 でも、次のイベントのチラシは印刷済みだから、あの子にチャンスを与えに行かないか?」

***

「ああ、ものすごい歓迎だった。まるで伊織自体が流れ星みたいな扱いだったな」
「にひひっ♪ むさくるしいアンタの前じゃ、さぞかしこの流れ星ちゃんは可愛くうつったでしょうね」
「次回はもっとグッズを揃えておくよ。伊織にお高い評価をつけてもらえるなら安いもんだ」
「そうね。熱心なファンには熱心に応えなくちゃ。次回のCD出荷は、どーんと3倍でお願いね♪」
「えっ!? なんだそれは。どこから来た自信なんだ?」
「あの子のお父さまったら、私のCDを10枚も買ってくださってたのよ。
 そんなに熱心に願ってもらえると、流れ星としては輝きがいがあるじゃない」
「……3倍買ってもらうつもりか」
「流れ星を見つけられるファンって、やっぱりとってもお目が高いわよね。
 アンタの願いごとも、いつかちゃーんと聞き届けてあげるんだから。明日からもがりがり働くのよっ」


伊織はそう言うなり行ってしまいました。数秒悩んだのち、Pは自分の願いごとを思いだしました

発見者の焦りなんてちっとも気にせず、願われた流れ星は悠々と青年の傍を巡り続けるのでした





【考察】創作発表板アイマススレ2-141 投下日:2009/5/22

創作発表板で面白そうなお題が出たので創作してみました。

<お題の要点概略(詳細はスレ>>86)>
・遊園地での握手会イベントである
・アイドルは最後にサイン入りの風船を配布
・その風船を手放して泣いてしまった子供がいる

ざっくりまとめるとこんな感じです。

風船モチーフのSSは、以前雪歩で1本書いたことがあったので、(「空飛ぶ船」)
今回は雪歩以外のワンダリングスター組で考えることにしました。


無敵艦隊の一翼を担う伊織は、もともとのアイドル適正がかなり高い女の子なので、
いわゆる「普通の女の子がトップアイドルという名のスターになるシナリオ」ではなく
「スターの女の子を一層眩しいスターに仕立てあげるシナリオ」という印象があります。

あとから一等星に転じた星、という例がちょっと見あたらなかったので、
「一等星になること」を祈られた流れ星というものを伊織のモチーフにしています。


己が紛れもないスターであることを一番自覚している女の子だなあ、とも思うのです。
00:00  |  伊織  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

コメントを投稿する


 管理者だけに表示  (非公開コメント投稿可能)

▲PageTop

Trackback

この記事のトラックバックURL

→http://allegoryfactory.blog34.fc2.com/tb.php/58-ba6d32e3
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事へのトラックバック

▲PageTop

 | BLOGTOP | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。