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2010'04.03 (Sat)

感謝の気持ち

coroさん主催「アイマス一時間SS」参加作品
テーマ(選択可):「一撃」「決裂」「遅刻」「曇天」

→「遅刻」「曇天」を使用

***

【More】

その女の子は、高木社長の質問に答えました。

「……私をトップアイドルにしてくれた、プロデューサーさんです」
「ほう?」
「今の私がここにいられるのも、その人のおかげだと思っています。
 ときどき以前のことを思い出して、空を見上げて、泣きたくなったりもしたけど」

どれほど良い天気の日でも、女の子の目には、いつも雨が降っていました。
時が経って、傷がふさがり、ようやく前を向いて歩けるようになりました。

「私が一番感謝している人は、やっぱり私のプロデューサーさんなんです」


***


その男性は、小鳥さんの質問に答えました。

「……自分が最後にプロデュースできた、担当アイドルかな」
「そうなんですか?」
「たくさんの相手と仕事をして、たくさんの別れも経験してきたけれど。
 挫けそうになった時、心の支えになっていたのは、他の誰でもないあの子だった」

プロデューサーという立場は、彼が望む理想の仕事をするには、少し窮屈でした。
時が経って、立場も変わり、ようやく望んでいた仕事もできるようになりました。

「だから一番感謝している人は、やっぱり最後に担当したアイドルなんだ」


***


女の子と男性が、質問の答えを相手に告げていたとき。
コンコンと扉がノックされて、春香と、春香のプロデューサーがやってきました。

「あれっ、まだ仕事中だったんですか。春香の誕生日会、先に始めちゃいますよ?」
「お二人とも、今日のケーキは自信作なんです。遠慮しないで食べてくださいね!」

声をかけられた二人は、仕事の手をとめて顔をあげます。

「おお、すまないな。準備にも顔を出さず、ついつい話し込んでしまった」
「春香ちゃんはパーティーの主役なのに。用意までさせてしまって、ごめんなさいね」

「好きでやってることですから、気にしなくていいんですよ」と、春香は明るく言いました。
隣にいた春香のプロデューサーが、ふと何かに気付いた様子で、春香に言葉をかけます。

「そう言われてみると、俺は春香から色んなものを貰ってばかりだな。いつもありがとう、春香」
「と、とんでもないです! 私こそ、プロデューサーさんと一緒にお仕事ができて嬉しいです!」

ありがとうを伝えた青年の目の前には、満足そうな顔の春香がいました。


***


「君と一緒に仕事ができて嬉しかったよ」

春香と春香のプロデューサーを先に見送って、高木社長が小鳥さんに言いました。

「社長?」
「アイドルに感謝の気持ちを伝えるにしても、私は彼より、ずっと遅刻しすぎてしまったようだ」
「とんでもないです。私こそ、プロデューサーさんと一緒にお仕事ができて嬉しかったんですよ」

ありがとうを伝えた男性の目の前には、満足そうな顔の女の子がいました。


                              (おしまい)
19:34  |  春香  |  TB(0)  |  CM(6)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

感謝。

感謝と言うのは、良い言葉だと感じます。
感じる事と謝る事。二つ合わせて、なぜか「ありがとう」になる不思議。
困らせたかもしれない。迷惑をかけたかもしれない。
思い通りに行かなかったかもしれない。
願いを叶えてやれなかったかもしれない。
それでも、隣にいてくれて、ありがとう。
隣にいさせてくれて、ありがとう。

色々な人と出会い、色々な人と仕事をし、
色々な経験を積んで、色々な成長をして。

ただ一瞬、ただ一人を思い出せたなら、それは運命なのだと思います。
誰にも、運命の人はいるんですよね。素敵なお話です。
ガルシアP | 2010年04月04日(日) 00:28 | URL | コメント編集

拝読致しました

 ああ、これは素敵なPと春香さんの物語だ。やさしい文体で書かれたストーリーに心があたたかくなっていると、あれ?どうしてPと春香さんが二人いるの?もしかしてどこかすっとばしてしまったのだろうか?
狐に化かされたような感覚で続きを読んでいくと、あぁ、この人達だったのか。
 呼び名のトリックといえばいいのでしょうか、おそらくは名前があるのでしょうが、いかんせん浅学でこの技法の名を存じておりません。ですが、この技法はただのトリックではなく、ある二つの関係性をパラレルに想像させる素晴らしい表現方法だったと思います。表現技法とはかくあるべき、寓話さんのSSを読む度に自分の文の拙さを痛感させられます。
 アイドルとプロデューサーと、互いに感謝の気持ちを持ちながら前に進んでいく過去・現在・未来の物語。優しくて静かな敬愛。素敵なお話でした。本当に。
 素晴らしいSSをありがとうございます!
小六 | 2010年04月04日(日) 03:53 | URL | コメント編集

最初どういうことかわからず何度も読み返し、ようやく合点がいくとともにその感謝の重さに胸打たれ、熱くなりました。
男性と女の子が通ってきた道をまた次の世代が通り、またそういうふうに思い返せたのならとても素敵なことですね^^
素敵な作品を楽しませていただきました、ありがとうございました。
またご参加いただけるとうれしいです、お疲れ様でした^^
coro | 2010年04月04日(日) 16:30 | URL | コメント編集

>ガルシアPさん

コメントありがとうございます。「感謝」=「感じて」+「謝る」言葉ですね。
自分が素直にならないと言葉に出せないあたり、奥が深いです。

※語源が気になって、自分でもちょっと調べてみたのですが、感謝の
「謝」という文字には「お礼を言う」という意味も含まれているそうです。
中国語で、「ありがとう。」が、「謝謝。」と示されるのは、
「たくさんお礼を言うこと」=「ありがとう。」という意味に繋がるようです。

>ただ一瞬、ただ一人を思い出せたなら、それは運命なのだと思います。
>誰にも、運命の人はいるんですよね。素敵なお話です。

あずささんに限らず、誰にでも運命の人は存在しているんですよね。
(形に限らず、「人生における分岐点に存在していた人」でしょうか)
春香にはPが、小鳥さんには社長が居てくれて良かったなと思います。
担当アイドルあってのプロデューサーであり、その逆もまた然り、ですね。
お互いに感謝を伝えられる距離に存在できることこそ、一番幸福なこと
なのかもしれません。こちらこそ素敵なコメントありがとうございました!
寓話 | 2010年04月05日(月) 20:39 | URL | コメント編集

>小六さん

コメントありがとうございます。めでたく春香の誕生日ということもあり、
春香のイメージを奮起させられる空気があちこちに流れていたことが、
拙いながらも作中トリックの追い風になってくれたように思います。

>呼び名のトリック

きっちりと組み立てられた小説でしたら、「叙述トリック」に属するものかも
しれません。自分は「誰を想像しても構わない形のSS」を書くのが好きで、
(なんとなく、読んでお得な感じがするので)春香の誕生日だったこともあり、
はじめに、「他の誰かと春香を対に出来ないかな?」と考えました。
現在の春香と未来の春香を並行させて書いていたら、たまたま別の像が
重なった、という感じです。トリックと申し上げるには恐れ多い文章ですが、
なにより春香大好きな方に、「あっ春香さん?」と、一瞬でも思って頂けたら、
嬉しいです。小六さんのみなぎる春香愛に負けぬよう努力したい所存です。
読んでくださってどうもありがとうございました!
寓話 | 2010年04月05日(月) 20:41 | URL | コメント編集

>coroさん

コメントありがとうございます。遅刻提出になって申し訳ないです(´・ω・`)
世間が春香祭りで、何かSSを書きたくなり飛び込み参加させて頂きました。

「春香と春香P」「小鳥さんと社長」は何となく自分のなかでリンクしている
イメージがありまして、過去に一度同じテーマで拾っているのですが、今回
再チャレンジさせて頂きました。春香に限らず、どの子もみんな小鳥さんの
後輩なので、みんなは小鳥さんの辿ってきた道を歩くことになるんですよね。
そういう意味では小鳥さんは皆の手本であり、どのアイドルともリンクできる
唯一のアイドルなんじゃないかなと考えています。創作的にも自由度が高い分、
過去と現在をいくらでも行き来できるのが小鳥さんの強みかな、とも思います。
楽しんで頂けましたら幸いです。企画主催おつかれさまでした!
寓話 | 2010年04月05日(月) 20:44 | URL | コメント編集

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