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2010'05.30 (Sun)

Changes.

「一枚絵で書いてみm@ster」第五回 参加作品です

※1020行

※ガルシアPとの合作SSになります


プロット制作:寓話
ロゴ制作:ガルシア
シナリオ脚本・SS執筆・推敲ならびに校正:寓話・ガルシア
イメージイラスト:十
企画運営:トリスケリオン
                 (敬称略)

*****

【More】

Changes_top.jpg

 スタジオのレッスン室から出てきた春香は俯き、とぼとぼと廊下を歩いていた。その両目に
涙を溜めて、重たそうな足取りで、階下のロッカールームに向かおうとしている。

『タオルを取ってきたら、ボイスレッスンの続きよ』

 自分のレッスンを見てもらっていた、千早と伊織、美希に見送られ、春香はため息をついた。

 Eランクアイドルの春香に、活動停止の宣告が下されたのは、つい先週のことだ。
『三週間後、お別れライブを開こう』という、プロデューサーからの、最終宣告だった。

 デビューして三ヶ月の間、春香のアイドル活動は延々と低空飛行を続けていた。
 オーディションの成績も宜しくなく、歌番組に出られることもない。たまに入る営業でも、
元気だけが空回りして、挙げ句の果てには失敗してしまう有様だった。

 一足先にデビューしたアイドルたちは、華々しくステージに上がり、次々とステップアップ
している。春香がもたついている間に、隣に並んでいたはずの仲間の姿は、いつしか背中しか
見えなくなってしまっていた。皆と同じレッスンをしても、基礎力に差をつけられてしまった
春香は、ほとんど置いてきぼりにされてしまう。

 お別れライブの準備のため、春香のレッスンに来られなくなったプロデューサーが、せめて
自分の代わりにと『助っ人』を呼んでくれたのはいいが、今のところは、全くの逆効果だった。
 他の子との大きな差を思い知らされた春香は、居たたまれなくなって、半べそをかきながら
レッスン室を飛び出してきてしまったのだ。

(……私、ちっともアイドルらしくない。きっと、向いてないんだ。アイドル)

 Eランクであがいている自分が情けなかった。春香はただ、千早や伊織や、美希が見ている
景色と、同じ景色が見たかった。それだけだ。自分の歌がもっと上手かったら、誰にも臆する
ことなく堂々と歌う事ができたら、レッスンに付き合ってくれた千早をガッカリさせることも、
美希や伊織に気を遣わせることも、無かったはずなのに。
 いっそ、アイドルじゃなくて、ケーキ屋さんとか、事務員さんとか――

「あら。春香ちゃん?」

 階段を降りようとしたタイミングで、唐突に声を掛けられて、春香は硬直する。小鳥だった。
千早の頼んでいた音楽資料を、コピーしてレッスン室に届けにきたのだろう。
 春香は、自分の不安を全部見られていたような気分になって、慌てて立ち止まろうとした。
だがそこに、床は無かった。左足が空っぽの床を踏む。悲鳴をあげる暇もなく、春香の身体は
空中へと投げ出される。

「春香ちゃん!!」

 背中から落下しながら、春香は飛び込んでくる小鳥の姿を見た気がした。小鳥が抱えていた
書類が、一斉に宙に舞い上がる。春香は助けに入った小鳥を巻き込み、踊り場まで派手に転げ
おちた。強烈な衝撃が春香の全身を襲う。その際、後頭部を床に強く打ちつけ、春香の意識は
真っ白に塗りつぶされた。



 どのくらいの時間、気を失っていたのだろう。顔の上に白い紙が乗っていることに気づいて、
春香は目を開いた。書類を拾いあげる。刷りたての黒インクの匂い。あちこちに散らばる紙は、
ようやく大人しくなって、階段一面に広がっていた。書類が散らかった階段の上で、春香は、
自分のすぐ脇に倒れている、春香を見つけた。

(……えっ?)

 そこには確かに、春香がいた。春香の目の前に、春香が横向きに倒れている。

「あれっ、私?……あれっ??」

 春香は、背中と腰が、ずきずきと鈍く痛むのを感じた。階段から落ちた衝撃のせいだろう。
けれど、あれほど強く打ちつけたはずの、後頭部の痛みが無かった。自分の発する声に、姿に、
制服に。世界に強い違和感を覚える。春香は奇妙な夢でも見ている気分だった。まるで小鳥と
自分の中身が、そっくり入れ替わってしまったみたいだ。

「だ、大丈夫ですか!? 私……じゃなくって、小鳥さん! 小鳥さん!!」

 春香の呼びかけに反応し、目の前の春香はガバッと跳ね起きた。その勢いに驚いて、春香は
思わずひっくり返ってしまう。春香より元気に目を覚ました「春香」は、春香の姿を確認して、
自分の着ている赤ジャージを認識して、頭のリボンに触れて、目をぱちぱちさせている。

「……春香ちゃん、あなた、春香ちゃんなの?」
「はい! 春香です! 天海春香です! どどどどうしましょう、小鳥さん!」
「どうしましょうって言われても……」

 春香と小鳥は、床一面に散らばった書類の海の真ん中で、途方にくれていた。



*****



 あたりに散らばった書類を、二人で集めていると、階段の上から、春香を呼ぶ声が聴こえた。
「なにしてるのー?」快活な声と共に、美希が階段を下りてくる。小鳥がそれに反応した。

「あのね、春香ちゃんが転んじゃって、支えようとしたんだけど」
「春香ちゃん?」
「あっ、いや、私――う、うん! 私が転んじゃってさ! あははっ!」
「はやくはやく。千早さん待ってるから。レッスン室に行こ? ほらっ」

 ためらいもなく美希が掴んだのは、春香になった小鳥の腕だ。春香は顔を青くした。マズい。
いろいろと面倒になりそうな予感がして、書類を抱えたまま、二人の後を慌てて追いかける。

「あ、あ、あの! み、美希、美希ちゃん!」
「なーに? 小鳥」
「わ、わっ、私も行ってもいいかな!? ちは……皆に会いたいの!」

 いいよ!と、美希は言った。小鳥は軽い足取りで、美希よりも早く階段を駆け上っている。
レッスン室に流れる空気は、先程と変わらぬまま。春香が部屋を出て、10分と経っていない。
ただ、その10分の間に、春香の世界は180度変わってしまった。部屋の奥で会話を交わしていた
千早と伊織が、戻ってきた美希たちに気づいて、顔を上げる。

「千早さん。デコちゃん。春香つれてきたの! 二人でいっしょに階段で転んでた、小鳥も!」

 美希の報告に、千早は軽いため息をつき、伊織はプーッと吹き出した。一番最後にレッスン
室に入ってきた春香は、そこで初めて小鳥の背中を見た。自分の背中を、こうやって見るのは
初めてのことだ。鏡で見ていた自分の背中よりも、小鳥の背中は、不思議と、頼もしく映った。
春香がその理由を汲みとろうとしていると、淡々とした千早の声がレッスン室に響いた。

「春香、さっきの続きよ。あなたの歌を、もう一度歌ってみせて」



 小鳥が歌を歌っている。

 レッスン室で呆気に取られていたのは、春香だけではなかった。10分前にいた春香とは全く
別人が現れて、美希は目をまるくしている。伊織は、戸惑いと怪しさの満ちた表情で、疑いの
眼差しを向けていた。千早はと言えば、開始して間もなく、言葉をぴたりと閉ざしてしまった。

 小鳥の歌は、その場にいる全ての観客から言葉を奪い取った。あふれるような豊かな感情を
丁寧につむいでいく小鳥の歌唱を、全員が目の当たりにして、途中で感想を口にすることさえ
はばかられた。春香と小鳥の年の差が、そのまま表現力の差となって、歌声に現れたようだ。
春香は、千早が小さく肩を震わせているのに気がついた。

(千早ちゃん、解っちゃったのかな。私と小鳥さんの中身が、入れ替わってるってこと)

 直感的に、春香はそう思った。こんなに面倒なことになって、怒っているのかもしれない。
只でさえ歌のレッスンで怒らせてしまっているのに、おかしな現実逃避の結果が、この有様だ。
歌に対して真面目な千早は、春香の後ろ向きな考えを軽蔑するだろう。まったくの努力もなく、
いきなり歌が上手くなるわけがない。確かにレッスンからは逃げたかったけれど、こんな形で
逃げられても、正直どうしていいかわからない。
 春香は強烈に反省していた。けれど、この奇妙な夢から、どうやって元に戻るかについては、
まったく見当もつかなかった。

 音楽が止んだ。小鳥は満足そうな顔で息を吐き出す。肩を震わせていた千早が、おもむろに
口を開く。緊張し、身体を硬くしていた春香だったが、聞こえた声は予想と正反対の物だった。

「素晴らしいわ、春香! 見違えるような出来栄えじゃない!」
「すごいすごーい! 春香上手なの! なんだか、春香じゃない人みたいだね、デコちゃん!」
「……そうね。妙にインチキくさいけど。でも、間違いなく、上手くなってるわ」

 三者三様の反応に、春香は冷や汗を流している。小鳥はと言えば、ひょうひょうとした顔で、
千早からの賛辞にも、懐いてくる美希にも、そして怪しんでいる伊織にも、笑顔で応じていた。

 その様子に一旦は胸をなでおろした春香は、胸の奥に寂しい風が吹き抜けていくのを感じた。

(すごいな、小鳥さんは。私なんかより、ずっと、アイドルみたい……)

 あんなふうに堂々と歌えた記憶は、春香には一度もない。誰かを感動させるような歌なんて、
春香には、絶対に歌えないと思っていた。それは間違いだった。春香と入れ替わった小鳥は、
春香の歌声で、この場のアイドルを全員感動させられたのだから。

 春香は、不思議な感覚で小鳥を眺めた。春香が憧れていた「春香」が、そこに存在していた。



*****



 ここ最近、春香のレッスンがとても順調なんですよ。というプロデューサーの声を、春香は
給湯室の中で聞いた。
 社長とプロデューサーの何気ない立ち話。春香はそれを耳にしながら、お茶の用意をする。
昨日は社長に、今日のお茶はなんだか濃いね、と言われてしまった。春香はお茶を飲むとき、
いつも甘いものと一緒に飲むので、つい濃いめに淹れてしまう癖がついていたのだ。
 今日は、少し薄めに淹れてみようかな。春香は茶筒を傾けて、小さく茶葉をすくった。

 用意したお茶を、二人から「美味しい」と言ってもらえて、春香はホッと胸をなでおろす。
それと同時に、少し嬉しくなった。アイドルとして頑張っていた頃は、こんな風に褒められた
ことがあっただろうか? しばらく時間を費やしたけれど、何も出てこなかった。

“違う。 足りない。 おかしい。 ブレてる。 もっと。 もっと。 もっと”

 プロデューサーの言葉が、春香の胸に重く沈みこむ。「小鳥さん、まーた考え事ですか?」
唐突な声に、春香の心臓がひっくり返る。そのせいで、プロデューサーの声はどこかへ行って
しまった。

「りり、律子さんっ!?」
「色々細かい仕事が溜まってるんですから、頑張りましょうね。お互いに」
「え、ええ! もちろんですよ。私に任せてください」

 パソコンの使い方は、昨夜、小鳥から習っていた。春香は小鳥から受けたレクチャーを思い
出しながら、同時に昨日の夜の、春香の母親への電話を思い出して、少し笑ってしまった。

 「仕事で小鳥さんの家に泊まることになった」と小鳥が言って、
 「春香ちゃんはしっかりお預かりしますので」と春香が口添えをしたのだ。

 そのころには、いくらか“現実”にも頭が追い付いてきていた。

 春香は自分でもノートパソコンを持っているので、エクセルの基本操作くらいはできたが、
さすがに小鳥の仕事を全て代行する事はできない。小鳥は自分なりの判断で春香にできそうな
いくつかの業務を引き継ぎ、それ以外は深夜か早朝、小鳥がやる事になった。両立するのは、
ものすごく大変ですよね、と心配する春香の声に、小鳥は、無邪気に応じてみせる。

「全然疲れないから、問題無いわ。春香ちゃんのレッスンの成果ね」

 それは、春香自身でさえ見たことのない、“春香の笑顔”だった。



 ずっと事務所の中にいて、春香には初めて見えてきた事があった。

 とても単純な事だけれど、アイドルは「お金」になる。TV出演、ドラマ、CM、ライブ、
CDのリリース。アイドルの活動は、その全てが金額に置き換える事が可能だった。そして、
それはまさに春香の目の前で起きていた。

 小鳥のパソコンを少しいじれば、月別の売上が簡単に分かる。アイドルごとに丁寧にシート
分けされ、「誰」の「どんな仕事」が「いくら」になるのかが、一目瞭然だった。
 なんとなく感じていた事だったから、もう、悔しいとか悲しいとか、そんな感情は春香には
無かった。自分はこんなにもちっぽけな存在だったのだと、改めて確認しただけだ。

 春香は笑った。私たちが、プロフィールサイズの1センチ、2センチで、わーわーと叫んだり、
ファンレターの一通や二通で、きゃーきゃーと言い合ったりしている間、大人たちは、10万円、
100万円の差で、私たちを見ていた訳だ。
 価値の無いアイドルに、同じだけの手間をかけるなんて、可笑しいもんね――。

 春香は、泣かなかった。小鳥の視線で物事を見ているからか、あまりにも他人事のようで、
寂しさを通り越して、つい笑ってしまう。

「小鳥さん、何、笑ってるんですか?」

 斜めに向かい合う格好の律子が、キーボードを叩きながら聞いた。春香は笑顔のまま言った。

「天海春香は、結局、デビューした意味が無かったなあって」

 律子の手が止まる。一瞬何かを言いかけたが、まるで苦いものでも無理やり呑み込むように
口を閉ざした。
 2分ほど経った時、律子が立ち上がり、春香に――小鳥に言った。

「小鳥さん、ちょっとお疲れみたいですから、外の空気を吸ってくるのがいいと思いますよ」

 春香が初めて聞く、ひどく他人行儀な律子の声だった。律子と小鳥は仲が良いと思っていた
春香には、少し意外な気もした。それでも、大手を振って事務所を出られるのは嬉しい。

「そうかもしれませんね。気分転換に、少し、外を散歩してきます」

 外の散歩を楽しんでいた春香には、律子が不機嫌な理由は、まったく分からなかった。



*****



 春香と小鳥の入れ替わりは、小さなほころびを、その都度修繕しながら続いていた。

 ひょんな出来事とは言え、16歳の女子高生になった小鳥は、それを最大限に楽しんでいたし、
小鳥の身体へ移った春香は、プレッシャーも劣等感も無い、気楽な日々を過ごしていた。

 小鳥は嬉々として、春香の代わりを務めた。周囲が驚くほど歌のレッスンに励み、事務所の
用事をこなし、日が暮れるまで、同世代のアイドル仲間と一緒に過ごした。周りのアイドルは
「一体どうしたんだろう?」と不思議がったが、活動停止までの残り期間を考えると、誰もが
春香に対して寛容になった。

 春香は、事務員の仕事を、面白く感じ始めていた。会社の中で生まれる、小さな雑用たちが
積もりに積もって片付けられるのを待っている。「またこんなに溜めて!!」と、律子が雷を
落とす直前、それは、春香の手によって救出されることになった。

 領収書の管理、経費の精算。それくらいなら、落ちこぼれの春香にも手伝うことができた。
小鳥が学校に顔を出したり、レッスンに行ったりしている間、春香は黙々とそれを片付ける。
空き時間では、会計ソフトの使い方を勉強する。こつこつと自分の成果が積もっていくのが、
楽しかった。そしてそれは、小鳥の確認作業によって、評価のハンコをつけられた。

「完璧だわ。糊付けも丁寧だし。春香ちゃんって結構、事務作業に向いてるのかも」
「そうですか? えへへ、嬉しいです」

 仕事としては大したことのない業務だった。それでも春香は、けして小さくはない満足感を
覚えていた。ここのデスクに座って、ずっと領収書を片付けられたらいいのに。とさえ思えた。

 アイドルとしての最後の舞台を控えて、春香は様々な事を考えた。学校のこと。両親のこと。
そして仕事のこと。もしここで事務の仕事ができるなら、それも楽しそうだった。律子のように、
アルバイトをさせてもらうのも、良いかもしれない。プロの事務員さんから、向いているとまで
言われたのだし。

 小鳥が、春香の自宅に電話を掛けている。今日も仕事が遅くなりそうだからと、小鳥の家に
お世話になる旨を、丁寧にわかりやすく伝えていた。向こうからの反応に、怒りの色はない。

 小鳥は春香になりきって、電話でいろんな事を伝えた。活動停止の日まで二週間、しっかり
レッスンをしておきたいこと。最後までアイドルとして、後悔の無いように頑張りたいこと。
その半面、家を開けがちになってしまって、とても申し訳なく思っていること。

 小鳥の隣で聞いている春香が、申し訳なく思うほど、完璧な言い訳だった。春香自身でさえ
そこまでアイドル活動を頑張ったような記憶は無い。そう思ってしまうほどに、小鳥の演じる
天海春香はアイドルに燃えていた。いくつかの頷きのあと、小鳥はまた、あの笑顔を浮かべて
応える。

「ありがとうお母さん。頑張るね!」

 春香はその声を、なんだか他人の声のように聞いた。



 765プロの事務所から、車で15分ほどのところに、とある老舗のデパートがある。
 徒歩では30分ほど掛かってしまうその場所を、その日春香は、小鳥とふたりで訪れていた。

 時代遅れの外観と言ってしまうよりは、それ相応の年季と風格を備えたようなデパートだ。
アイドルの春香には、なじみ深い場所になっていた。デパートの南口から入り、店内の音楽を
聴きながら歩く。華やかなコスメティックのエリアでは、シャネルとイヴ・サンローランが、
尖った香りで勢力争いをしている。そんなエリアを抜け、エスカレーターで順に登っていく。
婦人服、ジュエリー、紳士服、文房具。そして屋上――。

 駅から直結という訳でもない。駐車場が何百台と入る訳でもない。昔ながらの大型デパート。
その屋上には子供たちのための遊び場が開かれていた。アスレチック型の巨大な遊具を中心に、
周りにはブランコやシーソーが並び、カラフルなジャングルジムが、塔のように立っている。

 春香がお別れライブをする場所は、このデパートの、屋上ステージと決まっていた。

 Eランクの春香は、ライブハウスや、音楽ホールで歌ったことなど一度も無い。そのかわり、
このデパート屋上のステージに限っては、他のアイドルとは違って、何度か顔を出していた。

 放送されて、じきに一年を迎えようとしているヒーロー戦隊のショーは、決まって日曜日に
行われている。その前座をつとめた春香は、初回の評判が上々だったことから、ちょくちょく
前座で盛り上げるための要員として、隔週でお呼ばれしていたのだ。春香の歌が聴こえると、
ヒーローショーの始まりを察知できる子供がいる程度には、春香もここの常連になっていた。

「今日のお客さんの埋まりは、六割くらいかしらね」
「多いほうだと思います。私が出ていた週でも、半分いけば良かったほうだし」

 ヒーローショーを遠巻きに眺めながら、春香は小鳥と話しこんでいた。観客席のキャパは、
ベンチ席80名、立ち見を含めても120名ほど。大きなライブハウスとは、比べるべくもないが、
デパートの屋上にしては、大きな方だろう。今日はその半分か、少し多いくらいの子供たちが
ショーを見に集まってきている。
 ヒーローにも賞味期限があるのだ。放映から一年も経てば、次の新しいヒーローが現れる。
どんなに人気のヒーローでも、二年も三年もやれるようなヒーローはいない。よっぽどお金に
なるのなら、別かもしれないけれど。

「ヒーローも大変なお仕事ですよね。あれだけ頑張ったのに、一年たったら終わりなんて」
「そうかしら?」
「私だったら、嫌です。だって“もうお金にならないから、捨てられる”ってことでしょう?」

 言葉に出しながら、春香は自分のことを話している気分になった。小鳥は複雑そうな表情を
浮かべている。少し離れた場所では、ヒーローが派手に怪人を投げ飛ばしていた。

「私は、ヒーローが、うらやましいな」
「えっ?」
「一年間、本当に限られた時間だけ、思いっきりヒーローになるの。
 正しいヒーローの形って、そういうものじゃない? パッと現れて、忽然と居なくなるの」

 小鳥の言い分も、なんとなく解る。春香は前を向いた。ヒーローの立ち回りに、子供たちが
はしゃいでいる。その隣で、小鳥の声が、空に溶けていった。

 ――どんな場所だって良いから、全力で輝き尽くしてみたかったなあ。

 その呟きに春香が反応するより早く、小鳥が立ちあがっていた。ヒーローのキックが怪人に
炸裂したのだ。子供たちに混ざって歓声を送っている小鳥は、確かに今、全力で輝いていた。



*****



 お別れライブを数日後に控えたある日、春香がランチ休憩を終えて戻ってくると、ちょうど
小鳥たちが揃って事務室を出てくるところだった。小鳥は一人ではなく、千早や伊織、美希と
一緒に、楽しそうにお喋りしながら、エレベーターのあるこちらの方へ向かってくる。一緒の
メンバーに気まずさを覚えた春香は、とっさに、自動販売機の陰に隠れてしまった。
 今日の小鳥は、みんなと揃いの制服を着ている。きっとレッスンスタジオに向かうのだろう。

(あれ以来、みんなとお喋りしてないなぁ……)

 春香は、小鳥と入れ替わってしまった日の事を思い返していた。

 ――小鳥さんは、変わったね。

 何度かそんな風に言われた事がある。律子だけではない、他のスタッフにもだ。今みんなに
会ったら、みんなと話したら、どう返されるだろう。春香は、自分で浮かべた考えに恐れた。

 その考えを上塗りするようなタイミングで、美希の声が聞こえた。

「最近の春香って、別人みたいだよね?」

 春香の背中が、急に凍りついた。たまらず自販機の陰から覗きこむ。美希は半笑いの表情で
小鳥にじゃれついている。小鳥は紙パックジュースのストローを口にくわえて、しれっとした
顔をしている。上目遣いだけで「そう?」と尋ねると、美希は小鳥にうんうんと頷いてみせた。

「だってー。レッスンでも全然転ばないんだもん。絶対おかしいよー」

 小鳥は、そんな美希の手から逃れるように身体をひねり、隣の千早に助けを求める。

「ふぃひゃーひゃーん! みふぃらひろいころゆー!」
「はいはい。美希がひどいことを言っているわね」
「ふぃーひゃあひゃーーん!!」
「はいはい。春香は春香のままよ。何も変わっていないわ」

 千早が相槌をうちながら小鳥をいなす。小鳥はそれでも嬉しそうに千早に抱きついていた。

「でも。確かに、ちょっと不自然よね」

 伊織の目が、何か怪しいものでも探るように、小鳥の身体のラインをたどる。小鳥が、背の
高い千早に抱きつこうとしていたせいで、セーラー服の隙間から、ウエストがちらりと覗いた。
伊織はそのまま、白いしなやかな手のひらを、自然とその隙間に潜り込ませる。

「ひゃりっ!?」

 小鳥の喉から、くすぐったいような驚いたような奇妙な声が漏れた。伊織は何かを確かめる
ように触れてから、差し入れたその手を、今度は千早のウエストに回す。そして、首を傾げた。

「別に腹筋をしっかり鍛えたって訳でもないのに、あの発声だものね」
「私は、春香には、元々素質があると思っていたわ」

 応じる千早の声は、どこか嬉しそうだった。その意見に、伊織はまだ賛成しかねている様子
だったが、エレベーターの到着音と、美希の明るい声が全てをさらう。

「春香を見てるとね、ミキもやる気マンマンになっちゃうの。だから今日もレッスンがんばろ!」
「わんらるおー!」

 千早はやれやれと溜め息をつき、伊織は肩をすくめる。美希は嬉しそうに小鳥の手を取って、
エレベーターの中へバタバタと駆け込んでいく。

 春香は、そんな「春香」を見ていた。仲良くレッスンに行く、4人のアイドルを見ていた。
 その中に、春香はいない。ただ、柵の外から見ているしかできない。

(そうだ。私、あんな風に……)

 エレベーターのドアが閉まるまで、春香はみんなに囲まれている小鳥の姿を見ていた。

 あんな風に、みんなの隣にいたかった。一緒にレッスンがしたかった。認めて貰いたかった。
仲間たちは、だれ一人として、春香に気付いてはくれなかった。ただ、もう一人の自分だけが、
なにかを問いかけるような眼差しで、春香にはない意思を含んだ目で、春香のことを射抜いた。
春香とは、まったく別人のような、まっすぐな瞳で。

005.jpg


 春香の中で、小さな何かが、剥がれて落ちた。
 錆びついていた心。その奥にあったはずのものが、少しだけ見えてしまった。

 あんな風にはなれないと思っていた。春香には一生無理なのだと思っていた。そんな春香の
考えは、「諦め」という錆びとなって心を覆い、そしてそれが春香を守っていた。

 なのに、あの「春香」を眺めていると、もしかしたら自分も、あんな風になれるのではない
かと考えてしまう。ほんの数週間前までは、そんなことは考えもしなかった。考えれば考える
ほど、怖かった。春香は、夢や希望が、どれだけ簡単に破れるものか知っている。
 だから――。

 小鳥がエレベーターの中に消えたあとも、春香は、その場にずっと立ち尽くしていた。



*****



 どうしても気持ちが落ち着かなかった春香は、自販機横のベンチに座って、ミルクティーを
飲んでいた。「小鳥さん」と、律子に声をかけられ、春香はそちらを向く。

「ごめんなさい。ちょっと、ゆっくりし過ぎてしまったかしら」
「いえ、いいんです。――そのままで」

 律子は、立ち上がりかけていた小鳥を片手で制すると、そのまま自販機にコインを入れた。
選んだのは、いつもの青りんごスカッシュ。それを手に、座ったままの小鳥の真正面に立った。
自然と春香は、律子を見上げる格好になる。

「色々考えて、黙っておこうと思いましたが、無理でした」

 春香の前で、努めて無表情になろうとする律子だったが、それはあまり成功していなかった。

「撤回してください。以前の、あの発言だけは、撤回するって言ってください」
「……私、何か言ったかしら?」
「『天海春香はデビューした意味が無かった』って言いました」
「ああ、だってあれは――」

 自分自身でそう思っていることだから、と、春香は言いかけた。それは言葉にならなかった。
正面に立つ律子が、小刻みに震えているのに気付いたからだ。

「春香は――」

 腹の奥から絞るような、律子の声だった。

「春香は、確かに恵まれなかったかもしれません。運が悪かったかもしれません。
 それでも、春香は一生懸命でした。たとえそれがヒーローショーの前座でも、
 今日はこんなお客さんがいたんですって、こんな声援もらえたんですって、嬉しそうでした。
 春香の歌が大好きなんだって、ファンレターをくれた女の子もいました。それを宝物だって、
 事務所中のみんなに見せて回っていた春香を――」

 律子の声が、そして肩が、明らかに大きく震えている。

「小鳥さん、あなたも見てたじゃないですか!」

 ファンレター。それは今でも、春香の日記帳に挟んである。月刊誌のふろくに付いたような、
戦隊ヒーローの便箋と封筒。封を開けるまで、春香は、絶対に男の子からのファンレターだと
思っていた。数少ないファンからの、大事なプレゼントだった。

「アイドルランクとか、稼ぎとか、そんなものだけで春香の価値を決めつけないで下さいよ。
 そんな見方をする人達に、『それは間違いです』って誰よりも正面から言い続けてきたのは、
 他の誰より、小鳥さんだったじゃないですか!!」

 律子の言葉は、小鳥の身体をすり抜けて、内側の春香を直撃した。

(そうだ。私、嬉しかったのに。小鳥さんの言葉は、いつだって暖かかったのに。
 いつからそれを、同情だとか慰めだって、思い始めちゃったんだろう。
 私だけが一方的に、プレッシャーだって、迷惑だって受け止めて――)

 春香の思考回路が混乱をきたしている中、律子はさらに追い打ちをかける。

「春香のラストライブ、中止になりました」

 今度こそ完全に、春香の思考が停止した。

「え……?」
「ヒーローショーの枠が拡大されるそうです。来期のヒーローのお披露目で」
「だって、こ――ここで、さっき、春香ちゃんたち――」
「知ってます。春香も、みんなも。さっき、プロデューサーから直接聞きました」
「で、でも! レッスンだって! 今からみんなで! あんなに、仲良く……!」
「春香はいつだって、そういう子でしたよ。そうでしょう?」

 その通りだ。春香は知っている。別人のような春香を。最後まで、レッスンを続けることを
選んだ小鳥の姿を。アイドルの仕事が与えられた小鳥は、全力で春香の代役を務めた。春香が
投げてしまいそうな仕事でも、営業でも、レッスンでも、なんでも最後までやり切ってきた。

 小鳥は、春香の代行をしてきたわけではない。小鳥は、全力でプロの仕事をしてきただけだ。
それに気付いた春香は、今までの考えが、大きく、ずれていたことを知った。

 今の春香が事務員になったら、765プロはきっと潰れてしまうだろう。どれほど向いていると
言われたところで、春香には、プロの覚悟が欠如していたのだから。小鳥はただ、何も言わず、
春香の目の前で、全力で春香を演じることで、それを教え続けてくれていただけなのだから。

 春香は、今すぐ小鳥に礼を伝えたかった。反射的にエレベーターの方を振り返る。
 そんな春香の手から、律子はそっと紙コップを拾いあげた。

「どうぞ。今日の午後は、私一人でも大丈夫ですから」

 春香は立ち上がり、一度小さく頭を下げてから駆け出した。下りのボタンを押す。一階から
エレベーターが上がるまで、約40秒。春香は一度深呼吸をし、まっすぐな目で振り返る。

「律子さん! 私が間違ってました。――天海春香は、立派なアイドルです!」
「ええ。当たり前です。春香にも、よろしく伝えておいてくださいね。
 活動停止の日まで、しっかりサポートお願いしますよ」

 当たり前です。と、春香も笑顔を返した。今の春香ができる、唯一のプロの仕事は、小鳥の
サポートだったからだ。

 レッスン室にいる四人に、春香は会いに行った。今までになく軽い気持ちで。
 春香は、輪の中から外されていたのではない。春香が、輪の中からひとり外れていたのだ。

 おかしな春香と、おかしな小鳥だと三人から評されて、二人は目配せして笑った。

 向かい合う瞳の色は、春香とまったく同じもの。元の春香と、なんら変わってはいなかった。
そのことに気づけただけでも、春香には堪らなく嬉しかった。



*****



 活動停止の当日。春香は、小鳥とプロデューサーと、デパートの屋上に向かっていた。

 お別れライブはできなくなってしまったものの、今日が春香の最後の活動日には違いない。
「何かやりたいことは無いか?」と、プロデューサーに尋ねられた小鳥は、デパートの屋上に
行きたいと答えた。ヒーローショーが見たいと言うのだ。

「どうせ最後なんですし! 子供たちに混ざって、パーっと盛り上げちゃいましょうよ!」

 プロデューサーは頷いた。お別れライブが潰れてからも、レッスンしていた様子を見ていて、
心苦しかったせいもある。最終日の記念にと、今日は春香と小鳥と三人で、ショーを見に行く
ことに決めた。
 最後の日までアイドルでいたいからと、荷物の中にアイドル衣装を詰め込む小鳥を、春香は、
不思議そうな目で見ていた。

「荷物が重たくなっちゃいますよ、小鳥さん」
「春香ちゃんが、いつもショーの日に使った、大事な衣装だもの」
「小鳥さんは、今日のショーが失敗するかもしれないって、思ってるんですか?」
「いいえ、違うわ。ショーが成功して欲しいから、ヒーローを応援しにいくのよ。
 春香ちゃんも、いっしょに来てくれるでしょう?」

 断るつもりもなかった。プロデューサーの車に乗りこんで、いつものデパートに到着すると、
真っ先に、前までとは違うポスターが目に付いた。デパートの各地に、新しいヒーロー戦隊の
ポスターが貼られている。今までの単色刷りではない、多色刷りのポスターは、デパート内の
オモチャ売り場を中心に、そこら中で見かけた。これだけでも、一番プッシュしている企画で
あることが、良くわかった。

 屋上に到着した春香は、いつもと変わらない空気に触れて、大きく息を吸った。子供たちは
ショーが始まるまでの時間、おいかけっこしたり、巨大な遊具の中で遊んでいる。その中には
春香が知っている顔もあった。いつも決まって最前列を陣取る男の子。お気に入りのオモチャ
片手に眺める女の子。
 ステージの上に立つアイドルの春香には気づけても、私服の春香には全く気づかないようだ。
はしゃぐ子供たちの脇を通りながら、春香は小鳥に尋ねる。

「そういえば、プロデューサーさんは?」
「デパートの方に、挨拶してから来るみたいよ。一足先に、ショーを見ていましょうか」

 ヒーロー戦隊ショーは15時から16時の予定だった。開催予告の放送チャイムが何度か流れ、
子供たちがぱらぱらと集まりはじめる。春香は遠慮気味に、肩を小さくして座っていた。隣で
帽子をかぶっている小鳥にも、子供たちは興味をしめさない。子供たちの今日の注目の的は、
ステージに登場するヒーローだ。春香はもう、その役目を半ば放棄している。

 猛々しいオープニングの曲が屋上に降りそそいで、初お披露目のヒーローが会場を席巻した。
子供たちが甲高い声をあげ、真新しいショーに興奮している。春香も目にするのは初めてだ。
 新しいヒーローを前に、小鳥も興奮していた。今にも席から立ちあがりそうな勢いで、子供
たちに混じって、きゃあきゃあとはしゃいでいる。あまりにも夢中で、足元の荷物が転がって
しまいそうだ。春香は、慌ててそれを引き寄せた。やっぱり重たい。

 それなりの宣伝費用をかけたショーは、確かに見ごたえがあった。揃いの衣装も派手だし、
ヒーローや怪人の立ち回りも迫力がある。大きなエフェクト音が左右のスピーカーから炸裂し、
白い煙がブワッと噴き出したところで、ステージを降りた怪人が観客席に現れた。

『あっ、怪人め、子供たちに何をする!?』

 春香の前方に座っていた子供が、呆気なく捕まってしまった。女の子は驚いて声も出ない。
軽々と抱きあげられると、ステージまで連れて行かれてしまう。ショーの司会者と、変身前の
ヒーローたちが、悪逆非道な怪人のことを、これでもかと罵倒している。

「いいわあ! お約束よねえ!」

 小鳥は腕を組んで何度も頷いている。春香はそちらに反応できなかった。女の子は混乱して、
かちかちと震えてしまっている。今にも泣きだしそうな表情で、怪人に抱えられている。その
小さな手から、大事なオモチャが落ちてしまいそうだった。

『みんな、ヒーローを呼ぼう! ヒーローの名前を呼べば、変身したヒーローが現れるぞ!』

 司会者が大きく観客席をあおる。観客席の反応は、思ったよりも薄かった。気を取り直して
ステージに向き直ると、司会者は怪人の横に進み出た。女の子に一言二言、声をかけている。
女の子の表情が、ぱっと明るくなって、マイクに向かって質問の答えを発した。

『ハルカ』

 えっ。と春香は思った。えっ。と司会者も思った。

『ハルカは、おうたうたってくれるもん。ハルカがいい』

 司会者が慌てて女の子の口元からマイクを引き離す。それでも、観客席からも、春香を呼ぶ
声が挙がりはじめた。本来なら今日は、春香が出てくるはずの日曜日なのだ。ショーの反応が
今ひとつ鈍かった理由は、ここにあった。子供たちの約半数が、くすぶっていた不満の矛先を
ステージに向けている。ショーの展開とは違うヒーローコールに、出演者たちは戸惑っていた。
春香を呼ぶ声が、なかなか静まらない。

 ステージ上の怪人は、大きな過ちを二つ犯していた。ひとつは、偶然捕まえてきた人質が、
明らかな人選ミスだったこと。そしてもうひとつは、姿を隠したヒーローが、今なお観客席の
中に潜んで、状況を目の当たりにしていたこと。
 予想外の状況に言葉を失った春香の隣で、小鳥が立ちあがった。その手がバッグに伸びる。
春香は、驚いてそちらを見上げた。

「小鳥さん」
「今日だけ私に、あなたのステージを貸してね」

 紛れもないヒーローが、春香の目の前にいた。



*****



 挨拶回りを済ませたプロデューサーが、屋上を訪れたのは、その10分後。人質を解放して、
変身のきっかけを無くしたヒーローたちは、私服のまま怪人と交戦していた。

「えーっと。春香と小鳥さんは、どの辺りだろう?」

 きょろきょろと観客席を見まわしていたプロデューサーは、ふと聴き覚えのあるイントロに
気づいて、足を止めた。ヒーローショーにしては、明るすぎる音楽だ。ステージの上が一気に
華やかになって、子供たちがそれに反応する。
 五色のヒーロー戦隊をはるかに凌駕する、二桁色のテーマソング。

“ハルカはリーダーなんでしょ。だってアカだもん。いつかテレビのまんなかにでるよね”

 いつだったか、最前列の男の子が、春香とプロデューサーに声を掛けてきたことがあった。
「Colorful Days」のイントロを背に、赤いマントを肩にかけ、自信に満ちたヒーローが言う。

『みんなのピンチと聞いて飛んできました! 謎の美少女アイドル、天海春香が参上です!!』

 プロデューサーの声は、喉で凍りついた。子供たちのテンションが一気に臨界点を突破する。
今日の春香は、いつもより派手に登場した。更衣室のカーテンが一枚、謎の美少女アイドルに
拝借されたことを知っているのは、春香と小鳥だけだ。

『一生一度のチャンス! 全力で歌いに来ました! みなさん、聴いてください!!』

 一丸となった観客は、それに全力の歓声を持って応じた。



 一方その頃、春香は裏で駆けまわっていた。舞台袖に控えている音響係が、春香のショーの
時と同じスタッフだったことが幸いだった。唐突に現れた春香に、スタッフは動揺していたが、
今日が春香のお別れライブ日だったことと、その機会を、永遠に無くしたことを説明されると、
スタッフは驚いた顔をして、繰り返し春香に確認した。本人でありながら、春香は何度も頷く。

 そして今、ステージ衣装に身を包んだ小鳥が、ステージの上に颯爽と現れたのを見計らって、
ショーの予定には一切なかった音源が、デパートの屋上を満たしていた。

 今まで何度も流れた音楽を背後に、小鳥が気持ちよさそうに歌声を届けているのが見える。
子供たちがカラフルな色の名を叫んでいる。赤の時の歓声が一番大きくて、春香の表情が少し
緩んだ。その笑顔が、バタバタと騒々しい足音によって固まる。
 ステージの上にいられなくなった、ヒーローショーの出演者たちと、その司会者だ。

「なにやってんだよ! 早くあの女降ろせ!」
「い――いやです!」
「ショーが滅茶苦茶じゃないか! どう責任を取るつもりなんだね!
 初日に合わせて宣伝してきたのが、これで台無しなんだよ!」

 責任と重圧が、春香の真正面から背中まで一気に貫いた。それでも春香は一歩も引き下がら
ない。一歩でも下がったら、律子に軽蔑される気がした。お金がなんだ。大人の都合がなんだ。
そんなものよりもっと価値があるものを、目の前で教えてくれた人を春香は知っている。

「お願いします! 歌わせてあげてください! あの子は、今日で最後なんです!」
「最後ってなんだよ。また別の日使ってくれよ」
「少しだけでもいいんです! お願いします! お願いします!」
「そう言われても、今日の契約は、すでに決まっていることなんだし……」

 輝かしい小鳥のステージとは対照的に、春香は床に膝を落として、何度も頭を下げていた。
終わらせてはいけない。ショーを終わらせてはいけない。春香の頭の中はそれで一杯だった。
春香が考えているのは、ひとつだけ。小鳥が最後まで歌を歌いきることだけだ。だから春香は、
背後の気配にも気付けなかった。

「あっ、小鳥さん! やっぱり小鳥さんの仕業でしたか!」
「プロデューサーさん……!」
「何事かと思いましたよ。立ってください。ああ、みなさんも、申し訳ありません」

 プロデューサーは名刺を取り出し、ぺこぺこと頭を下げる。その隣で春香は恐縮していた。
その頃にはようやく、プロデューサーの後ろに控えている人物にも気づける余裕が生まれた。
彼は、剣呑そうな出演者と、プロデューサーとの間に入るタイミングを、計っているようにも
みえた。思わず春香の口から疑問が飛び出す。

「プロデューサーさん、こちらの方は?」
「ああ、そうだった。ここに向かう途中でお会いしたんです。こちらは――」

 当デパートの催事担当です。と、彼は名乗り出た。

「皆さん、私の話を聞いてください。そして宜しければ、あの子を降ろさないで頂きたい」

 反発したのは出演者たちだ。順番の差異こそあれど、彼らは彼らなりに、「きちんとした」
手順を踏んで、「然るべきやり方」にのっとって、「大人が最も喜ぶ結果」を算出するために、
ステージに立つのが仕事だった。それがダメだと言われては、彼らの上が許さないだろう。

 心配する春香とプロデューサーを前に、催事担当者はステージが見える方向に進んだ。広い
空に解放されたステージと観客席を見わたし、彼はショーの出演者たちを振り返る。

「今からあなた方が出ていったとして、あれ以上の笑顔を作れますか?」

 観客席の方角を示され、出演者たちが言葉を呑みこんだ。退屈そうな表情をしている観客は、
今や一人も存在していない。大人しく座っている子供を見つける方が難しかった。ヒーローの
小鳥は、ステージの上を縦横無尽に歌いまわり、観客に向かって何度も手を振り返している。

「あの子をステージから降ろすのが、ヒーローの務めではないでしょう」

 そんなことをすればどうなるか、その場にいる誰もが容易く想像できた。全員が同じものを
想像しているのを確認し、催事担当者はひとつ息を吸うと、自分の立場で話を切り出した。

「本当に大事なのは、お客様の笑顔です。見てください、あのお客様を。
 デパートを訪れたお客様に、満足して帰って頂くことが、私どもの大事な仕事なのです」

 司会者が静かに首を振る。プロデューサーが春香の背を叩き、それで春香は我にかえった。
緊張の糸が切れて、今にも倒れそうだったが、それはまだ許可されていない。大人の春香には、
まだ、大人として片付ける仕事がたくさんある。

「今から忙しくなりそうですね、小鳥さん」
「任せてください、プロデューサーさん!」

 珍しいくらい元気な声が、春香の内側から湧き出た。
 ステージの上の熱気は、まだまだ下がりそうになかった。



*****



 デパートの屋上は、先程までの熱気を吹き飛ばし、がらんどうとした空気をかかえていた。
夕方の涼しい風が、屋上を吹き抜けていく。鳴り続けていた遊具のメロディーも、子供たちが
去った今では、すっかり黙り込んでいた。

 春香は客席に腰を降ろして、誰も居ないステージの上を眺めている。先程まで小鳥が全力で
歌っていたステージ。天海春香の、最後のライブ。自分のお別れライブを、まさか自分で見る
とは思わなかったな。そう、春香は思った。

 あの時の春香は、ステージに釘付けにさせられていた観客のひとりであり、心は紛れもなく
子供にかえっていた。目の前に現れたヒーローは、ステージの上でめまぐるしく活躍したあと、
忽然と姿を消してしまった。その余韻が強すぎて、春香はここに一人で居ることを望んだのだ。

 お別れライブが終わり、春香の中から、アイドル“天海春香”は消えた。春香に掛けられて
いた魔法もとけた。どこにでもいる一人の女子高生に戻った春香は、わずか数時間前までいた
世界に、想いを馳せていた。

「ああ、小鳥さん。ここに居たんですか」

 背後から声を掛けられ、春香はそちらを振り返った。背広の上着を手に、くたびれた様子の
プロデューサーが、頭を下げながら近づいてくる。

「プロデューサーさん。お疲れさまでした。……あの、色々、大変だったんじゃ?」
「無事に終わりました。大事にはなりませんよ。小鳥さんが居てくれて助かりました」
「そんなことないです。私よりも、こと――春香ちゃんの方が、よっぽど」

 よっぽど凄かったし、よっぽど上手だったし、よっぽど頑張ってくれた。間違いない。誰に
聞いてもそう答えるだろう。けれど春香は、それを素直に口に出せなかった。本来なら春香が
やるべき仕事で、春香はそれすらも、半ば放棄しかけていたのだから。

「先方さんにも、随分と気を遣わせてしまいましたよ。
 『最後だとは知らなかった』『あの子には悪い事をした』って。
 春香は、ここの常連アイドルでしたからね。今日が過ぎても、来ると思ったんでしょう」

 プロデューサーは空のステージを眺める。春香と何度も訪れた場所だ。活動停止を迎えて、
どんな気分なのだろう。プロデューサーの隣に座りながら、春香は言葉をさがした。いくら
さがしても「お疲れさまでした」以外の言葉が、みつからない。何か他に、言うべき言葉が
あるような気がするのに、春香にはどうしても、それを導き出すことができなかった。

「ここ最近の春香は、とても明るかったんです。小鳥さんが居たおかげかもしれませんね。
 あれほど活き活きと歌って踊る春香を見られたのは、俺も、とても久しぶりでした」
「……久し、ぶり……?」
「はい。今日の春香は100点満点です。初めて会った日のことを、思い出しましたよ」

 プロデューサーの言葉に、春香は戸惑った。今日の小鳥が満点だったのはわかる。けれど、
満点をもらった小鳥と、お別れライブを放棄していた春香を同一視するのは、いくら何でも
納得できなかった。プロデューサーは一体、何を言っているのだろう?

 春香の困惑に気づかないプロデューサーは、まるで、懐かしいものを見るような眼差しで、
ステージを眺めている。大きなステージとは縁のなかった春香が、唯一上がることのできた
ステージだった。懐かしさに腕を引っ張られる形で、春香は席を立つ。ステージへと向かう
その背中に向かって、意外な言葉がかけられた。

「一曲、歌ってもらえませんか?」

 春香は、驚いて振り返った。お別れライブを終えて、プロデューサーは何だか寂しそうに
見えた。一度は無いものにされた、春香のお別れライブが出来たものの、プロデューサーは
その裏で謝罪や修復作業に追われて、ゆっくりステージを見ることもできなかったのだ。

「ここに座っていると、まだ、春香の歌が聴こえる気がするんですよ」

 先程までのライブを、思い出しているのだろうか。プロデューサーは目を閉じて、賑やかな
ステージに想いを馳せている。小鳥と入れ替わってからというもの、そう言えば春香はずっと
歌を歌っていなかった。その必要性さえ失っていた。入れ替わってしまった春香に向かって、
「歌が聞きたい」と言ってくれるファンは、どこにも居なかったからだ。ひとりを除いて。

 迷いながらも、春香はステージに上がった。アイドルの衣装に身を包み、何度も立った場所。
子供たちが、春香の名を呼ぶ空耳が聴こえて、春香は静かに目を閉じた。


“ハルカ。ハルカ、うたって。もっとうたって。どうしてやめちゃうの?
 もう、うたいたくないの? ハルカ、アイドルきらいなの? ハルカ。ハルカ――”


 春香は閉じていた瞼を開いた。観客席に、もう、ファンはひとりもいない。役目を果たした
プロデューサーが、ぽつんと腰を降ろしているだけだ。「歌ってもらえませんか?」その声が
春香の中に、繰り返し響いていた。三週間ぶりに、春香は、メロディーらしき歌を口ずさんだ。

 歌声は、自然と春香の口をついて出てきた。



 プロデューサーは、観客席のひとつに腰を降ろし、静かにその歌を聴いていた。小鳥が歌う
「空」は、いつもよりも柔らかい空気で、プロデューサーの中へと優しく染みわたってきた。
 今までの活動を振り返りながら、寂しくなっていた気持ちを、慰められたような気がした。

 ゆっくりステージを眺める暇も無かったプロデューサーは、ようやくその時間を迎えていた。
 ステージが終わるのを、惜しいと思ったのは、先程までの子供たちと一緒だった。
 プロデューサーは、小鳥が歌い終えるまで、その場にじっと座っていた。



「……すいません。私の歌なんて、ダメですよね。い、いえ、いつもはもっと上手く――」

 なんとか歌い終えた春香は、慌てて弁明に入った。プロデューサーは首を横に振る。そして
満足そうな顔で拍手をすると、心の底から浮かび上がった、率直な感想を述べた。

「小鳥さんは、本当に歌が好きなんですね」

 春香は息を呑んだ。震える両足を一喝すると、

「――はいっ!」

 涙を必死に堪えて、それを受け入れた。大事な言葉だった。手放してしまいたくなかった。
春香は、いくつかの言い訳を並べると、プロデューサーをそこに残して、ステージを離れた。
大声で泣き叫びたかった。あるいは、一人になりたかった。

 ようやく本当の気持ちを見つけて、気づいた時には何もかもが終わっていた。絶望にも似た
無力な気持ちを感じるのは、春香にとって、およそ、三週間ぶりのことだった。



 着替えを終えて更衣室を出てきた小鳥は、子供たちの波が収まったことを確認し、そーっと
屋上を目指した。いろんなことをやり尽くして、心の奥底がポカポカしていた。その充実感を
味わっていたのが、つい先ほどまでのこと。屋上を目指していた小鳥は、階段を上っていた。

 そこで小鳥は、涙目になって降りてくる小鳥を――春香を見かけた。

「あら。春香ちゃん?」 (あら。春香ちゃん?)

 小鳥は、その感覚を覚えていた。レッスン室に届け物に行ったときのことだ。春香は涙目で
降りてきて、小鳥の存在に気づいて、びくりと身体を震わせた。
 その拍子に足元が滑って、春香がバランスを崩す。何もかもが同じで、小鳥もそれに倣う。

「春香ちゃん!」 (春香ちゃん!)

 三週間前も、同じ事が起きた。小鳥はつかの間の夢を楽しんだ。楽しみすぎて申し訳ないと
さえ思った。だからもし、時間を返すことができたら、返してあげたいと思った。16歳のまま
でも、小鳥の姿になっても、階段を降りてくる春香はいつも泣いていた。小鳥は両腕を伸ばす。

 ――どうか、神様。今度は、痛くありませんように。

 そんな風に念じながら、小鳥と春香は階段を転げ落ちていった。



 765プロに向かって、一台の車が走っている。

「まったく。小鳥さんと春香は、おっちょこちょいなところまで、そっくりですね」
「そんなことありませんよ。私はいつも巻き込まれてばかりで」
「ええー!? 小鳥さん、酷いです! 小鳥さんだって、巻き込んでばかりだったのに!」

 車の中は、とても賑やかで。活動停止したアイドルが、一番元気だった。



*****



 春香と小鳥の日常は、ようやく元通りになった。

 765プロも、三週間ぶりの日常を取り戻していた。いつものように出社する高木社長を迎え、
小鳥は背を正して一礼する。制服に身を包んだ小鳥は、顔を上げ、曇りのない笑顔を浮かべた。

 誰にも言えないことではあるのだけれど、小鳥にはひとつ、気がかりなことがあった。
 春香のお別れライブの幕を、春香ではない自分が降ろしてしまったことだ。

 小鳥は日常の業務に戻りながら、それを何処かでフォローする方法を考えていた。もちろん
今はアイドル活動を止めたばかりで、先のことなんて考えられないかもしれないけれど、もし
春香が、少しでもその気があるのなら、小鳥は今度こそ全力でサポートしたいと願っている。

 小鳥の考えを中断させるように、一本の電話が鳴った。かかってきた電話を、高木社長へと
取り次ぐ。日常のそんなやり取りさえも、今日の小鳥にはくすぐったかった。

 その電話が765プロに届いた直後、日常の穏やかな空気が一転した。



 高木順一朗はその電話を受け、驚き、戸惑い、そして電話を切る直前に二度、礼をした。 
 萩原雪歩はちょうどお茶を運んだ所だったが、高木の号令を受け、社長室を飛び出していく。



 お別れライブを終え、アイドルでなくなった春香は、プロデューサーと公園に来ていた。
 昨日の話をしながら、春香は今までの不思議な出来事を振り返り、おもむろに口を開く。

「プロデューサーさんに、聞いてほしい話があるんです」


 双海亜美と双海真美は、雪歩からその知らせを受けると、直立敬礼して事務所を駆け回った。
 如月千早は真美の伝令に驚き、ここ数週間のレッスンを振り返りながら、携帯電話を取り出す。



「なんだい?」
「私が子供のとき。子供に戻れたときに、私が憧れた、歌のお姉さんの話――」


 四条貴音は台本を閉じ、亜美の話に耳を傾けると、振り向いて共演者を呼んだ。
 秋月律子は腕を組み、その意外な展開に、事務所として何ができるかを考え始める。



 春香は語った。大好きなお姉さんの話を。歌が上手で、春香の憧れになった人の話を。
 パッと現れて、忽然と居なくなってしまった、素敵なヒーローの話を。
 プロデューサーはそれを、「春香が子供のときの思い出話」として、興味深く聞いていた。


 我那覇響は眠そうに電話に出た美希の、瞬時の変化に驚き、その隣に座って耳を寄せた。
 星井美希は千早の声に大喜びで応え、何度も頷くと、今から電話で教えるねと通話を切る。



 そして春香は足を止め、まっすぐにプロデューサーの方を向いて、口を開いた。


 高槻やよいがレッスンを終えて二人分のドリンクを取ると、真美が元気に駆け込んできた。
 水瀬伊織は携帯電話でその知らせを受け、入ってきたやよいと真美に最高の笑顔を向ける。



「――私、歌が好きです。アイドル、頑張りたいです」


 三浦あずさは事務所に戻ると、その蜂の巣を突付いたような騒ぎに、オロオロと慌てていた。
 菊地真は雪歩から聞かされた知らせの全貌を、あずさに伝えて、会心のガッツポーズをする。



 プロデューサーは驚いて、春香の名を呟いたきり、あとの言葉が続かない。
 プロデューサーの前に立つ春香から、あの錆びは跡形もなく消えていた。


 音無小鳥は、765プロが大好きだった。
 天海春香には、こんなに素敵な仲間たちがいて、プロデューサーがいて、輝く未来がある。



「時間、掛かるかもしれません。でも、どれだけ掛かっても、やりたいんです。
 今度こそ、最後まで走りきってみたいんです」


 音無小鳥は、スケジュールと会場の集客数、そして意外なスポンサーの名を紙に書き留める。
 不確定な要素もたくさんあるけれど、それもすぐに決まるだろう。 
 大事なのは、この一歩、まず歩き出す事――。



「また、一から始めようか。春香」
「――はいっ!」


 小鳥はその紙を丁寧に丸めると、壁に貼られた自分の名札を『外出中』に切り替えた。
 知らせを持ち、ドアを開け、小鳥が一歩を踏み出した。



 公園にいた二人の元へ、小鳥が走ってくる。春香の手に渡ったそれは、夢のバトン。
 お終いを迎えていない春香が、もう一度スタートするための、始まりに向かうための切符。

 春香はそれを、笑顔で受け取った。



  ――笑っていいよ 泣いていいよ

     だって巡ってまた “春” は来るから――





Changes_end_20100530013053.jpg



                            (おわり)
19:00  |  春香  |  TB(0)  |  CM(48)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

ふわぁ・・・

いや、言葉が・・・なんて言うか・・・
ごめんなさい、もっと言いたいことあるんですけど、
読んですぐで、感動して、こういう話、好きです。とても。

ああ、気がきいたことが言えない。
なんていうか、本当にありがとうございました。
EYEP | 2010年05月30日(日) 23:58 | URL | コメント編集

>EYEPさん

はじめましてEYEPさん。御来訪ありがとうございます。

書きたい話の材料を、ガルシアPと話して煮つめて、SSを一本作りました。
すこしばかり長くなりましたが、捨てられる部分はひとつもありません。
自分でも大好きな作品です。


>「こういう話、好きです。とても。」

ありがとうございます! わーいわーい!!

時間を掛けて材料を考えて、手の込んだ料理を作ってみましたが、
シェフとしてはやっぱり「おいしい」の一言が一番嬉しかったりします。

書き手ではあるものの、自分は難しい言葉にあまりピンとこない人間なので、
まっさきにコメントで「好きです」と言われて、正直とても嬉しかったです。

最後まで読んでくれて、本当にありがとうございました。
ガルシアPからも、お返事のコメントが付くかと思います。
お時間ありましたら、是非、またお立ち寄りください。
寓話 | 2010年05月31日(月) 02:37 | URL | コメント編集

拝読しました!

今回も「ちょっと不思議」なお話しでしたね。尾道なテイストはアイマスとしっくりきますね。
「春香と小鳥さんの差異で見えてくるモノは?」と思っていたら、なるほどそういうお話しだったんですね。
欲を言うと小鳥さんの過去の話ももう少し知りたいな~と思いました。
月の輪P | 2010年05月31日(月) 05:14 | URL | コメント編集

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 | 2010年05月31日(月) 09:53 |  | コメント編集

>月の輪Pさん

コメントありがとうございます。第四回は「すこし不思議」なSF、
第五回は「そうとう不思議」なSFになりました。
アイマスSF界の巨匠、微熱体温さんのSSを拝読していて
「うわー」「なにこれなにこれ!」と、目にしたワクワクを飲みこんで、
自分なりにアウトプットしてみました。


>欲を言うと小鳥さんの過去の話ももう少し知りたい~

お代わりのオーダーが来て「おおっ」と驚きました。これは嬉しいサプライズです。
月の輪Pさんへのお返事がてら、ここで少し作品の中身に触れさせてください。


【Changes.】は、寓話とガルシアPが作ったフルコース料理(長編SS)です。
「こんな料理を出したいんだ」と、寓話が発案メニューを持って交渉に赴き、
「自分はあれが作れる」「俺はここを担当しよう」と、二人がかりでコースを考えました。
(全体的な雰囲気はやや寓話ベースになっていますが、一文一文の判定は二人で行っています)

「プロット担当」の自分が行ったことが、章ごとの「核」を決めることでした。
「この場所で」「これを伝える」という、話の「メインパーツ」にあたります。
今回のSSは、春香が主役だったので、春香をひきたてるための工夫を考えました。
「小鳥さんの過去の話」は、メイン(春香の話)を引き立てる、美味しいサラダのようなものです。

小鳥さんの過去の話を「核」に置くとするならば、それは春香主観の【Changes.】ではなく、
小鳥さん主観の【Changes.2】において、最高に引き立てられるのではないか、と考えています。

フレンチのフルコースの途中で、忘れられない美味しいサラダが出てきたら、
その美味しいサラダが引き立つような、新しい、イタリアンのフルコースを考えたい。
書き手としては、そういう考えです。

新しいフルコースが完成した際には、是非みなさんに振る舞いたく思っております。
何卒、またいらしてください。

【第五回の合作SSが出来るまで】の話は、そのうち、
ここではない別の場所でお見せしたいと考えています。
寓話 | 2010年05月31日(月) 18:52 | URL | コメント編集

>匿名希望さん。

コメントありがとうございます。冒頭でお返事無用と仰られていましたが、
あまりにも身に余るお言葉を頂戴し、「これはいかん!!」と席を立ちました。

貰ってうれしかったコメントには、「うれしかった」というお返事を。
内容に踏み込むハイレベルなコメントには、ハイレベルなお返事を投げたい、と言うのが
ここのブログ管理人の主旨です。
150キロのボールを一球投げられて終わり、というよりは、
151キロのボールか、同速度のフルスイングで打ち返します。
(基本、「コメント」には全て返事をしています。「拍手」と違ってその場に留まるものは、
 全部打ち返します。発言には責任を持ちたいので、消すことも恐らくありません)
そういった、一部がやたらと頑固なところもご理解いただきつつ、
コメントの内容は引用していないことを前提で、お返事させてください。


「がっつり読みこまれたなー!」というのが第一印象です。さらっと
コメントしづらい量だというのは承知の上で、それでもここまで内容に
踏み込んで頂けますと、全部出し切って良かったー。と思えます。ありがとうございます。
こちらが料理に含めた「こだわり」「隠し味」「決め手のソース」といったこれらを
バシバシと指摘頂き、この場で引用して「あれが」「ここが」と説明したくなるのを
ぐっと堪えて、きちんと読んで下さったことにお礼申し上げます。

コメントで頂いた文章で、ひとつだけ踏みこませて頂きたいところがあります。

作品の完成を間近にした時期、寓話∸ガルシアPの間で、
「【Changes.】内で、どの一文が一番好きか?」という話題になったことがありました。

ガルシアPは、『小鳥は●●●●の●を●●●●。』という、寓話の発案文を、
寓話は、『「××●●は、●●●●が●●●●●●ね」』という、ガルシアPの発案文を挙げました。

1000行以上ある中で選んだ、たった一行のお気に入りの部分です。

「自分が作中で最も好きな一行」を、匿名コメントにおいて取りあげてくださった
ことが非常に嬉しくなり、ここで返事を書かずにはいられませんでした。
有り難く頂戴したコメントは、次回作へのエネルギーに回したいと思います。


また、メールに関してですが、おそらく別途の返事ができないと思われます。
ありがたいお申し出ではありますが、そちらに関する送信は不要です。ご理解ください。
最後まで読んで下さって、どうもありがとうございました!
寓話 | 2010年05月31日(月) 19:32 | URL | コメント編集

見えないものを他の視点からみたら見える 単純なようで多分普通の人では出来ない
ことなんですよね 天海春香は天海春香 音無小鳥は音無小鳥としてしか自分を
みられないから 自分に眠ってる物を見つけられたって最高の幸せなんじゃないでしょうか
それはその人しかもっていない宝物だから それを手にした春香はきっとさび付かない
輝けるアイドルになれますね また冬が来ても温めてくれる小鳥の翼がありますからね
トリスケリオン | 2010年05月31日(月) 21:25 | URL | コメント編集

御礼。

> EYEPさま

実に雄弁なコメントでした。
書き連ねるばかりが感想ではありませんとも。

読んで頂き、ありがとうございます。
コメントを拝見して、「ああ、EYEPさんは本気で読んでくれたんだな」と
確信を持って感じられました。とても嬉しかったです。

ぶっちゃけ、ラストは同じ心境だったと思います。作者2人も。
まだあんまりネタばらしはしませんけれど、
ラストは素敵な組み立て方だったので、私達も感動できました。

このストーリーは、とても長いです。
仕掛けも、そう奇抜ではありません(ごめんね、寓話さん)。
でも、だからこそ、色々な事を考えたし、
執筆中は2人、本気で意見を戦わせました。

その結果が、全てあのラストに繋がっています。
EYEPさんの心に、私達の見た色彩が広がっていれば幸いです。
ガルシアP | 2010年05月31日(月) 23:33 | URL | コメント編集

返礼。

> 月の輪Pさま

お読みいただきありがとうございます。
春香と小鳥の点対称を感じて頂ければ嬉しいです。

小鳥さんの昔は、どうでしょうね。

今回の合作では本当に1文1文字納得いくまで話をしました。
読んで頂いた方の中で、心に残れば、幸いです。
ガルシアP | 2010年06月01日(火) 01:50 | URL | コメント編集

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 | 2010年06月01日(火) 13:56 |  | コメント編集

>トリスケリオンさん

コメントありがとうございます。
「第三者の視点」になって、初めて見えてくる自分、というものもありますよね。
第五回の「一枚絵で書いてみm@ster」で、合作SSを一本仕上げるにあたって、
自分でも意識していない、「こだわり」や「個性」にいくつも気づかされました。
まさに「見えないものを他の視点からみたら見える」という状態です。

一人でSSを作る場合、ひとつのカメラを構えて自己作品を眺めることになりますが、
合作になると、自分ともうひとつのカメラレンズが作品を眺めることになります。
自分の視界から見えない映像を、客観的に眺めることで、個人作業ではなかなか
気づけないものに、沢山気づくことができました。

作中の春香も、一度は小鳥さんの姿を借りて、いろんな世界に触れて、いろんな空気を
吸って回ったからこそ、自分が何を望んでいるのかに辿りつけたのではないかな、と
思います。春香のみならず、小鳥さんもまた然り、ですね。
元々持ち合わせていたはずの輝きを、錆びつかせてしまった春香が、錆を落として
もう一度歩きだす、という話でした。過去の心残りをすっきりさせた小鳥さん共々、
二周目も頑張って欲しいなあ、と思う次第です。

企画主催おつかれさまでした。主催者の熱も座談で聞かせて頂いたところで、
その熱に応えるべく、次回以降もあれこれ手を尽くして頑張ります。宜しくおねがいします。




>>ガルシアP


>仕掛けも、そう奇抜ではありません(ごめんね、寓話さん)。

そもそも、
「誰でも知ってるコミュを使って」「『こんなの見たことない!』というSSを作りたい」という、
トンデモすぎる自分の無茶振りに、即OKサインを出してくれた、談長の懐深さに感謝です。


>でも、だからこそ、色々な事を考えたし、
>執筆中は2人、本気で意見を戦わせました。

ですね。ごくごく普通のシナリオが、最終的にここまで展開できたのは、自分でも予想外でした。
リレーSSとも違う、合作SSならではな部分を含めて、そのうち制作工程を振り返りたいですね。

「合作SS」は、もっと広い範囲でブームになってもいいと思いますぞ!(キリッ)
寓話 | 2010年06月01日(火) 19:11 | URL | コメント編集

>匿名希望さん。

コメントありがとうございます。たびたびのお返事を嬉しく思います。
コメント欄は、コメントを投げる側は「1VS1」ですが、返信する側(こちら)は、「1VS多数」なので、
自分は「匿名希望さん+ブログのお客さん」に言葉を向けるスタンスで、お返事させてください。

「(意訳)返信は要らないっすよ!俺のこの熱い気持ちだけ届けー!」という感じで
匿名コメントを頂きましたが、これは、ブログの管理者としては、ちょっと難しいのです。

・「匿名コメントに返信しない」=「自分に都合の悪いコメントがきて、放置してるみたい」と、
見えなくもないからです。もうひとつ追加すると、
・「匿名コメントが上にあると、次の人はコメント書きにくいよなー」というのもあります。
オープン文章ならともかく、中身が見えないというのは、不審物みたいでちょっと怖いですしね。
(※あくまで個人的な感覚です)


そんなわけで今回も、キャッチボール大好きな寓話が、コメントでお返事させていただきます。
(もういい、おk!な時は、拍手ボタンからその旨お伝えください。コメントはこちらに届きます)


頂いたコメントにふれる前に、寓話のtwitterからの引用をひとつ差し込みますね。

(>【「一枚絵」SSに匿名コメントが来た】「(意訳→)●●の展開は寓話さんらしい!
 >△△の台詞はさすが寓話さん!××のキャラが××なのは寓話さんならではですよね!」
 >……残念!そこは全部ガルシア先生の発案箇所だ!!
 >面白いので挫けずに何度でも当てに来てくれたまえ!涙目の寓話が待っているぞ!
 >約22時間前 webから )

「案外twitterを覗かれているかもしれん」と思って、SS書き手が20名ほど集っている場所で
笑い話のひとつとして、つぶやいてみました。外から覗いてくださっていたようでなによりです。
やや誇張と申しますか、厳密に言うと、全部がそうではなかったのですが、頂いたコメントが
面白かったので、より面白くしてみました。「作中のここが好き」というご指摘は、とても嬉しいです。
再三になりますが、ありがとうございます。


ガルシアPは即興でピンポイント的なストーリーを組み立てるのが非常に巧みであり、自分はそれを
骨組みに、1シナリオごとの背景をつなげていきました。なので振り返ってみても、印象的な台詞は、
ほとんどガルシアPがカバーしています。
推敲作業は大抵「A」→「B」→「C?」→「C’」→「「それだ!」」という、昇華的パス回しなのですが、
ガルシアPは「C’」へのシュート率がとても高く、自分はそれを基に、楽しんでSSが書けました。

作品に対するお褒めの言葉は、二人とも同じ重さで受け取っています。どちらか一方だけ
褒められる、というのは、どうにも座りが悪いので、頂いているコメントも譲渡しております。


そんな感じで作った【Changes.】ですが、まだまだ話していない裏話が99%を占めています。
それらを含めて読んでいただくと、ちがった発見があるかもしれません。末永くお付き合いください。

なかば独り事のようなお返事になりました。読んで下さってどうもありがとうございました!
寓話 | 2010年06月01日(火) 19:52 | URL | コメント編集

敬礼。

> トリスケリオンPさん

このお話は、夢物語です。
ただ、その夢は目が覚めても決して忘れる事無く、
自分だけではないもう1人と共有できた素敵な夢です。

目の前にあるのに気付かないものって、たくさんあります。
それに気付くことは、実は失った時だったりします。
この夢のようなお話では、
春香は、失わないままに失い、それに気付くことができました。
小鳥さんは、かつて失ったものを、他人の手で掴む事ができました。
2人にとって、それはちょっぴり切ない幸運です。

また始めよう。そんな気持ちで、新しい季節に旅立っていく2人。
そりゃあもう、すごい成功しますとも。間違い無しです。
ガルシアP | 2010年06月02日(水) 00:13 | URL | コメント編集

実際。

> 読者のみなさま と 寓話さん

> ガルシアPは即興でピンポイント的なストーリーを組み立てるのが
> 非常に巧みであり、自分はそれを 骨組みに、
> 1シナリオごとの背景をつなげていきました。

2人でやっているから、多少は粗があってもいいだろう、後でどうにでも。
というスタンスでストーリーの山作りに全力を傾けました。
私が気まぐれな馬車馬で、寓話さんが優しい御者さんです。

こんなのどう!? と熱く思い付きを語ると、
「いいですねー。で、それで行くと次のシーンと矛盾しますよね?」
あうあうあう――みたいな。
実際の所、最終的には両者の得意な点が上手く噛みあったと思います。
道中は割と、意見を戦わせてましたよー。
AとBとで譲れないとなると、両者が納得するにはCを出すしかない。
でも、そうして生まれたCは、振り返ると、AよりBより面白いんです。

これは、とても貴重な体験でした。本当に、オススメ!
ガルシアP | 2010年06月02日(水) 00:54 | URL | コメント編集

面白かったです。

色々、寓話さんからお話を聞いて、色々私が気づかない素晴らしい仕掛けがあったんだなと思いましたが、それにも増して、台詞の妙味とか、お話の流れとか基本の部分が素晴らしいので、面白いんだと思うんですよね。

特に終盤。
読み返す度に、「空」のイントロや歌詞が思い浮かぶ、すごく素敵な流れだと思います。

読み返すと、所々アクセント的に結構強い台詞、表現があるんですけど、それでもこの作品にトゲトゲしくならない柔らかさを感じます。良い流れで作品が出来ているんだと思います。

僕はこの作品、すごく好きです。
肉塊 | 2010年06月02日(水) 22:56 | URL | コメント編集

>肉塊さん

コメントありがとうございます。先日はskypeで本作を題に座談できて楽しかったです。
作品を投下した当日、「あれ(Changes.)だけで寓話ナイト一回できる」と
肉塊さんが仰られていたのが印象的で、個人的な興味から座談のお誘いに至りました。
ゲスト以上に誘った本人が喜んでいた始末。申し訳ありません。でも、心がポカポカしました。

作中の仕掛けについては、ガルシアPと山ほど詰め込みました。
「曲の歌詞」「アイドルの順序」「タイトルの意味」「ロゴのカラー」「フォントの変化」と、
普通に捉えるのとは別に、違う角度でも捉えられるように、複数の意味を込めてあります。
一周目は、そんな仕掛けに目を凝らすことなく、最後まで読み切ってもらいたい。
二周目・三周目で「ん?」と、気づいてもらえたらいいな、という、ちょっとしたオマケです。



>お話の流れとか基本の部分が素晴らしいので、面白いんだと思うんですよね。

オマケを入れて「再読して欲しいな」「もう一度読んでもらえるかな」と考えていた自分にとって、
「シナリオの基盤」を褒められるのは、言葉にならない嬉しさがあります。着飾ってはみたけれど、
それよりも性格とか素の部分の方を褒められたような、くすぐったさがあります。ニヤニヤしちゃう…!

自分たちがシナリオ中に思い描いていた歌が、読み手さんの頭の中で流れてくれたら、
この作品は大成功なのだと思います。本当にありがとうございます。

「強い台詞・強い表現」は、普段の自分では使わない、「避けている部分」でした。
ガルシアPはそれらを大胆に中に投入し、シナリオの色を一層強くしてくれました。
その分、普段の自分には出せない、インパクトや豪快さを伴ったプロットになっています。

プロットに強い材料が加えられたので、自分はそれを「まるくする」仕上げをしました。
食べた人が飲みこみやすいように、熱さで驚かないように、ガルシアPの材料が無駄にならないよう、
美味しいところは美味しいままで、つっかえないように食べられる工夫を、ちょっとだけ加えています。

それを踏まえた上で、肉塊さんのコメントを振り返ると、


>所々アクセント的に結構強い台詞、表現があるんですけど、
>それでもこの作品にトゲトゲしくならない柔らかさを感じます。
>良い流れで作品が出来ているんだと思います。

この三文に、自分達が合作でやりたかったことが、全部入っているように思えて仕方がないのです。

>僕はこの作品、すごく好きです。

泣かせないでください……!!(´;ω;`)二箱目のティッシュが底をつく……!!
また座談やりましょうね!次は肉塊さんのSS『アイマスGPシリーズ』を語り尽くすんだ……!
寓話 | 2010年06月03日(木) 01:30 | URL | コメント編集

御礼。

> 肉塊さん

言われなきゃ気づかない仕掛け、ってのは隠し味なので、
作り手側も、「さすがにこれは気づかないよね」と思っています。
大事なのは、感じて欲しいと思った事を感じてもらえたかどうか。
その点では、願った所まできているようで、一安心です。

化学変化と言うと急にチープになってしまいますが、
2人だからできた作品だなぁ、と今振り返っても思います。
ポイントポイントで、自分の案やアイデアを出すのは簡単なんですが、
それをまとめるのは、実はとても大変な作業で。
いくつかの章でダーッと書いた文章を寓話さんに送った所、
「ちょっと多すぎです。全体のバランスがとれないので、半分でいいです」
とか言われたり。
え? そうかなぁ。ここはこのくらい行っちゃってもいいんじゃ?
みたいに思うんですが、その後の寓話さんのパートと繋ぐと、ああ、そうか。と。
なるほど、こうなる訳か。んじゃあのフレーズだけ混ぜ込みたいなぁ――とか。

肉塊さんや他の皆様のコメントを拝見するに、
ああ、寓話さんのさじ加減はやはり絶妙だったなぁ、と関心するばかりです。

最終章は、2人が本当に上手く噛み合った流れでした。
長い映画の最後のように。春香を愛し、支える色とりどりの想いが――。
白と灰色だった冬の世界が、春、その色を取り戻すイメージで。

うん、ああ、色々と語りたいですね。本当に。
ガルシアP | 2010年06月03日(木) 16:22 | URL | コメント編集

混じりっ気なしの偶然だったんだけど

たまたま昼間に「入れ替わり」物のド定番さを呟いたところに、寓話さん本人からこの話がupされたことを聞いて、正直その時は「読まずに取っておく」って言う選択肢も有ったんだけど、xperiaをなぞる親指が止まらなかったんですよね。まさか入れ替わり物だったとは、と言う「偶然」が僕の親指を引き止めなかった。いや、止まらなかったと言うのが正解かな。まぁ、いいや、そんなことはw

「……やりやがったな、ちくしょう」とだけ、言っておきます。
僕の言いたいことは、多分寓話さんとガルシアさんには、通じるでしょう。なぜ半ば悪態をつくような物言いの捨て台詞なのかも、ねw
微熱体温 | 2010年06月03日(木) 20:42 | URL | コメント編集

>微熱体温さん

コメントありがとうございます。たまたまtwitterを開いたら、
入れ替わりネタを呟く微熱体温さんにぶつかりました。
いつも寓話が開いていない時間にtwitterを開いたのも、「偶然」のひとつだったのでしょう。
いろいろ転じた末にこちらの場所で、セール開催中にお会いできて光栄です。
微熱体温さんには読んで欲しかった。というのもありますが。まぁ、いいや、そんなことはw


>「……やりやがったな、ちくしょう」

最高の褒め言葉が降ってきました。ありがたく受け取らせていただきます。
微熱体温さんの『天降る星のシニフィエ』に感銘を受けた二人が、
「あんな感じで」「こんな感じで」と、制作中に意識したところがたくさんあります。
自分たちが受けたあの感動を、もっと大きなものに変えてやる!という
下剋上的な野心を抱えつつ、がりがり書いていました。
お手本というと語弊がありますが、ライブのワクワク感、シナリオのドキドキ感は、
なんとなく「あの作品」の端っこにつながっているような気がします。

「ハルカ」は自分の選択です。子供のような、あのPの姿が、何度も頭をよぎりました。
もしかしたらデパート屋上の観客席の中には、「彼」が混ざっていたかもしれません。

そうだといいなあ。
寓話 | 2010年06月03日(木) 22:57 | URL | コメント編集

>微熱体温さん

> 僕の言いたいことは、多分寓話さんとガルシアさんには、通じるでしょう。

やだなぁ。もう。きちんと言葉にしないと分からないよー。
「言わなくても分かるだろ?」って、日本人男性の悪いところだよ!
だ・か・ら、キチンと言ってよね! はい、もう1回コメントね!
ガルシアP | 2010年06月03日(木) 23:10 | URL | コメント編集

なん……だと……

もう1回とか……どういうことなの……マジで……w
つか、その口調、誰www

いや、もうこの二人で合作とかさ、面白くねぇわけねぇっつの、って話ですよw
全く、いいんですかこんなところで最終兵器のスイッチ押しちゃってさぁ。知りませんよ!? と、ジェラいコメを残しておく。そういうことだよ!w

ま、それだけじゃなんなので。長々と。

(1)
僕が一番胸に響いたのが、
 >お金がなんだ。大人の都合がなんだ。そんなものよりもっと価値があるものを、目の前で教えてくれた人を春香は知っている。
ココですね。事務員と言う立場になってみて、初めて肌身で数字と言う「知恵の実」を食べてしまった春香に対する強烈なしっぺ返しの瞬間だと僕は思うんです。で、これって実際社会に出て、いろんなものを結局数字でしか見られない、見てやれない立場の人間にはすごくキツいんですよ。そんなんじゃねぇんだ、って高らかに拳振り上げて主張できなくなるんですよね、年を重ねて階級を重ねて、どんどん保身的になって行く。自分の都合の良いように「数字」だけで理論武装し始める。
春香も一瞬そうなりかけた。そのくらい「数字」ってのは説得力が無駄にあるから、たちが悪い。でも小鳥さんはそれを見事に、それはもう痛快なほどに蹴っ飛ばして、春香に見せてやれた。それが小鳥さんの中にあった明確なヒーロー像であり、春香に向けた一つの「解答」だったんだろうと思うと、涙なしには読めない一文です。

(2)
SF畑の物言いも一つw
「入れ替わり」物には、一つの作法があるように思います。ほぼ明確に「入れ替わり」の瞬間が明確で、大雑把な原因のポイントがその場面と一致するか、或いは何の前触れもなく、か。
前者を選んだのは恐らく意図的なのでしょう。「階段落ち」はある意味ド定番でもあり、これから起こることがほぼ読者にストレートに伝わるシチュエーションですし。問題はこれをどう料理するか、に掛かってくるワケですがw

……なのに、こう来た。
 >16歳のままでも、小鳥の姿になっても、階段を降りてくる春香はいつも泣いていた。
卑怯だろw こんなん俺が泣くわwww

入れ替わる瞬間を見せる以上、「戻る瞬間」はすごく丁寧に段取りを踏んでシチュエーションを書かないと、ものっそい安っぽくなるんですが、全部のピースが綺麗に繋がって何の矛盾もなく、もういっぺん階段落ちのシーンを描けるところまで持っていく。思い付きはする、書けもする、けれどその瞬間に、今まで張り巡らせたあらゆる伏線の大筋の収束点でもある。
恐らく、相当に意識されたはず。ポンと出てきたと言うのなら、それはもう物語に愛された証拠だと言っても過言ではないでしょう。

とりあえず2点だけw 拾ったよちゃんと!
微熱体温 | 2010年06月03日(木) 23:39 | URL | コメント編集

「あ、ありが……と」

事前に寓話さんと話してたんですよね。
「誰かジェラってくれるかな」「ぐぎぎってなるかな」って。
決してマイナスの意味ではなくて、プラスの影響を、って。
まぁ、その辺の話は、別の機会に詳しく書きますか。

さすがにいい所をビシビシ突いて来ますなぁ。
また寓話さん泣いちゃうぞ!

このお話は(一応)パート毎に執筆者が違うんですが、
場所によっては、起案・検討・執筆・推敲と入り混じって、
どっちがどっちとも言えない部分もあったりします。
なので、どこを褒められても結局2人とも喜んじゃうんですよね。

上げていただいた2点は、かなり綿密に話し合いをした所です。
決してポンと出てきた訳ではないですが、
それでも物語に愛された結果だと思っております。
ね? 寓話さん。
ガルシアP | 2010年06月04日(金) 22:00 | URL | コメント編集

>微熱体温さん(その2)

ガルシアPからの無茶振りに対して笑顔で応えるあたり、
SS巨匠の貫禄を感じました。キャービネツサーン!


>もうこの二人で合作とかさ、面白くねぇわけねぇっつの、って話ですよw

三人で合作出来る日が楽しみですな! 面白くねぇわけねぇっつの、わくわくわく!!



(1)春香が見た小鳥さんのヒーロー像について

【Changes.】というタイトルには、少なくとも6つの意味があるのですが
その中でもここは基盤の三点、
『春香が小鳥さんと替わる』 『ダメダメだった春香が変わる』 『小鳥さんがヒーローに変わる』を、
全て踏襲しているシーンに当たります。シナリオ的にも「ここで大勝負を決める!」な所でした。

小鳥さんの姿になり「理想のアイドルとは違う、大人が望むアイドルの姿」を目にした春香が、
「お金にならないヒーローは、一年で使い捨てにされるんだ」という考えを抱えてしまったあと、
その考えは「ミラクルヒーロー小鳥さん」の手で払拭されることになります。小鳥さんも色々と
過去に思う所があった人だと思うのです。春香と決定的に違うのは、小鳥さんには恵まれた
環境がなかったこと。「765プロ」という場所が無かったころのアイドル、ということでしょうか。
そんな小鳥さんが「恵まれた環境のもと」、「もう一度アイドルに戻る」というチャンスを得ます。

春香が見えなかったもの、小鳥さんにしか見ることができなかったもの、それらの交錯がここに
あります。小鳥さんが誰にともなく送り続けていたメッセージの受信に、春香が成功する瞬間です。

逆を言えば、メッセージの受信者は、春香以外には存在しなかった。春香がそれを受け取って、
行動に移してはじめて、小鳥さんの行動は実を結ぶことになるわけです。惑星間の衛星通信にも
近い部分がある、といっても良いかもしれません。「小鳥さんの“後継者”的なアイドル」を意識した
シナリオだったので、「目的の達成」は同時に行いたかった。どちらか一方だけが、目的を達成する
ことはできない、そういう「枷」的な部分を仕込んであります。

いつぞやの微熱ナイト(skype文字チャット)において、微熱体温さんが、
「感情表現は僕の好物なので」「そういう所が盛られていると個人的にわくわくします」という
発言を受け、ここが寓話の担当パートだったのを良いことに、敢えてひとりの読者を意識して
差し込んでいた部分が、この一行でした。まさかのご本人から、見事に一発サルベージされて、
書き手冥利につきます。(´;ω;`)ティッシュが、ティッシュが足りない……!



(2)「入れ替わり」のシーンについて

初期の寓話の脚本(プロット)では、
「1:階段を転がり落ちたところで、春香と小鳥さんが入れ替わる」
「6:いろいろあって、目的を果たした春香と小鳥さんが、元に戻る」 しかありませんでした。
「階段から落ちて入れ替わる」ことは決まっていても、「どうやって戻るか」は白紙だったのです。

当時は、プロットで『一枚絵』のクリアが未達成だったこと、春香があまりに主役らしくなかったこと、
小鳥さんがミラクルヒーロー過ぎて、完全に主役(春香)を凌駕してしまっていたこと、などが問題で、
「入れ替わりの戻り方について」は全く触れられませんでした。正直ほとんど時間がなかったのです。

「とりあえず脚本に沿ってシナリオを埋めよう」「一本につながったらラストが見えるかもしれん」と、
ガルシアPと寓話はSSを書いていました。ガルシアPが頭の方から、寓話がラストの方から、
脚本を埋める形で執筆していました。それでも、「入れ替わりが戻るシーン」は空っぽでした。

戻るシーンがふっと降りてきたのは、プロット1を直していたころだったかと思います。
春香はPとの対話で目的を果たし、「元のアイドルに戻りたい」という所まで来ていました。
その段階でプロット6は停止していたのですが、プロット1を頭からコツコツ修正している最中、
「あれ。これはプロット6とまるきり同じだ」と気づいたのです。

春香は結局、「アイドルが嫌いになって」第一の入れ替わりを望み、「アイドルになりたくなって」
第二の入れ替わりを望んだ、ということになります。春香の望みは、結果的に、小鳥さんがずっと
抱えていた、消化不良の夢を叶える結果につながりました。需要と供給のバランスが、たまたま
一致していたのです。

二人は偶然入れ替わったことで、「自分の目的を果たすためのシナリオ」に落とされました。
ここから先の話は、ガルシアPが山あり谷ありのイベントを効果的に配置し、寓話がその背景を
繋げることで、【Changes.】本編に至るわけです。頭の隅から出てきたシナリオではありますが、
そこに至るまでの準備は、ちょっと多めにあったかもしれません。話し合いの結果、二人が一番
納得した「入れ替わり」の形が、あの場所に含まれています。


ガルシアPが「作中のお気に入り」と仰った、寓話発案の一文というのが、
微熱体温さんの取りあげた数行前の部分、『小鳥はつかの間の夢を楽しんだ』という文章でした。

ここの理由はご本人からおいおい伺うとして、そのほんの数行後、今度は微熱体温さんが
『16歳のままでも、小鳥の姿になっても、階段を降りる春香はいつも泣いていた』という部分にピンと
来ていたと言うのが、このブロックを担当した寓話からすると、なんだか誇らしい気分になります。

子供が大人になるよりも、大人が子供に戻るほうが、過ぎ去った時間の綺麗さを知っている分だけ
その時間を大事に過ごせるんじゃないかなあ、という、寓話がぼんやり考えた部分が、ここにあります。
子供/大人 という視点うんぬん、の話になると、どうしてもまた『シニフィエ』に話が結集してしまうの
ですが、そういう点も含め『天降る星のシニフィエ』と近いSSが書けたのではないかな、と思います。


がっつり踏み込んだ感想をありがとうございました。「とりあえず2点だけw」とありましたが、こちらは
幾らでもばっちこい!です。ガルシアPとの「コメント二倍セール」はまだまだ実施中です。是非。

ジェラいコメントありがとうございました。w
寓話 | 2010年06月05日(土) 00:04 | URL | コメント編集

拝読致しました

(0) まえがき
読みながらその後の展開が分かっているはずなのに、何故だか胸が熱くなって、涙腺が刺激されて、
とてもとてもいい話のはずなのに、その光があまりにも眩しすぎて、涙なしでは読めませんでした。
読み終わった後、自分の心には「眩しいなぁ」「キラキラしてるなぁ」「どうしてこんなに泣いてるんだろ」
…という気持ちが渦巻いていました。このSSを書いて下さって本当にありがとうございます、と言いたくなりました。
これぞ合作!といえばいいのでしょうか。眩しい位に温かい陽だまりに包まれたような、少し照れ臭くて心地よい感覚です。
実を言うと今でも感動の余韻で泣き出してしまいそうなのですが、不器用ながらコメントさせて頂いてます。

(1) 侵食する白の世界

まず冒頭の章を読んで、「あ、これは本気かけて読まないとダメだ」と感じました。
シーン設定・演出・描写が本当に冒頭の章らしく、何かが起こる予兆がじりじりと脳裏を焦がされるような文章。

 『 背中から落下しながら、春香は飛び込んでくる小鳥の姿を見た気がした。小鳥が抱えていた
  書類が、一斉に宙に舞い上がる。春香は助けに入った小鳥を巻き込み、踊り場まで派手に転げ
  おちた。強烈な衝撃が春香の全身を襲う。その際、後頭部を床に強く打ちつけ、春香の意識は
  真っ白に塗りつぶされた。』
 『春香と小鳥は、床一面に散らばった書類の海の真ん中で、途方にくれていた。』

絵が一瞬にして頭の中に浮かびました。
鮮烈な白主体のモノクローム。ラストから一気に色づいてくるわけですが、頭の中に白い紙がぶわっと舞いました。
ズームアウトして終わる冒頭シーン。白い世界に放り出された(落下した?)二人。
ぽかんと何もなくなってしまった白から、一体どんなお話が紡ぎだされるのだろうと、ドキドキしてしまいます。

 『 春香の呼びかけに反応し、目の前の春香はガバッと跳ね起きた。その勢いに驚いて、春香は
  思わずひっくり返ってしまう。春香より元気に目を覚ました「春香」は、春香の姿を確認して、
  自分の着ている赤ジャージを認識して、頭のリボンに触れて、目をぱちぱちさせている。』

この文章がもう面白くて、うおおおおすげえええええ!!と唸ってしまいました。
読者を混乱させるような「春香」という言葉の連続、アイデンティティが混乱している状況が目で見て分かります。
いわゆるよくある「入れ替わり」の話なのですが、ここまで見事に混乱を表現するその力に脱帽です。


(2) 春香さんと小鳥さん

以前twitterで話題になったことがあったのですが、
『春香さんと小鳥さんって意外に描き分けが難しいですよね』、という話題がありました。
このSSを読んでいるとき、その記憶がふっと思い浮かびました。春香さんと、小鳥さん。
一枚絵、寓話さん(とガルシアさん)の作風からすれば、春香さんの視線の先は小鳥さんかなという予測がつきます。
どちらもアイドルというものに夢をもって仕事をしている人間なんですよね。キラキラしてます。
今回は春香さんの光が「錆びついて」いるわけですが、本質的なところで似通ったところがある二人なのかもしれません。

 『 直感的に、春香はそう思った。こんなに面倒なことになって、怒っているのかもしれない。
  只でさえ歌のレッスンで怒らせてしまっているのに、おかしな現実逃避の結果が、この有様だ。
  歌に対して真面目な千早は、春香の後ろ向きな考えを軽蔑するだろう。まったくの努力もなく、
  いきなり歌が上手くなるわけがない。確かにレッスンからは逃げたかったけれど、こんな形で
  逃げられても、正直どうしていいかわからない。
   春香は強烈に反省していた。けれど、この奇妙な夢から、どうやって元に戻るかについては、
  まったく見当もつかなかった。』

 『 あんなふうに堂々と歌えた記憶は、春香には一度もない。誰かを感動させるような歌なんて、
  春香には、絶対に歌えないと思っていた。それは間違いだった。春香と入れ替わった小鳥は、
  春香の歌声で、この場のアイドルを全員感動させられたのだから。

   春香は、不思議な感覚で小鳥を眺めた。春香が憧れていた「春香」が、そこに存在していた。』

このあたりで、二人の類似性と輝きの違いが春香さんの視点から読みとれるように思います。
同じものだからこそ、比較して明らかになる違いっていうのはあって、春香さんにとっては絶望的な事実だったと思います。
自分の持っているはずもので、自分には出せないことができてしまっているわけですから、なんとも。
春香さんにとって小鳥さんは、春香さんが憧れていた「歌のお姉さん」になれる存在なんですよね。
ああ、うおう、と唸りながら読み進めていきます。

 『「全然疲れないから、問題無いわ。春香ちゃんのレッスンの成果ね」

   それは、春香自身でさえ見たことのない、“春香の笑顔”だった。』

これですよ。春香さんの心境やいかにって感じです。
失って初めて気付く大切さというと何かチープな感じですが、春香さんは愕然としたのではないでしょうか。
なんといえばいいでしょうか、この笑顔、本当に眩しい笑顔のような気がします。
この笑顔がずっと効いてきますよね、それ位に今回のSSでは大切なキーだと思います「笑顔」。
僕が感じた眩しさの原因の一つなのかもしれません。いい笑顔だと思います、掛け値なしに。
見ていて泣きたくなってしまうのは何ででしょうね。いい笑顔なはずなのに。
春香さんはその笑顔を見て、自分の出した「結果」を見て、自分を卑下していますが、
本当に、うーん、春香さんが好きな人間の一人として、言葉にならないです。切ないです。
数字じゃないんだよ、だけど大人は不器用だから数字でしか測れないんだよ。そんなもどかしさ。


(3) ステージという場所

デパートの屋上、春香さんのステージ。春香さんのためのステージ。
『春香がお別れライブをする場所は、このデパートの、屋上ステージと決まっていた』
…とありますが、それは春香さん以外が決めたことなのか、春香さんが決めたことなのか。
何にせよ、このSSにおいて春香さんが輝けるステージだったんですよね。

 『 時代遅れの外観と言ってしまうよりは、それ相応の年季と風格を備えたようなデパートだ。
  アイドルの春香には、なじみ深い場所になっていた。デパートの南口から入り、店内の音楽を
  聴きながら歩く。華やかなコスメティックのエリアでは、シャネルとイヴ・サンローランが、
  尖った香りで勢力争いをしている。そんなエリアを抜け、エスカレーターで順に登っていく。
  婦人服、ジュエリー、紳士服、文房具。そして屋上――。

   駅から直結という訳でもない。駐車場が何百台と入る訳でもない。昔ながらの大型デパート。
  その屋上には子供たちのための遊び場が開かれていた。アスレチック型の巨大な遊具を中心に、
  周りにはブランコやシーソーが並び、カラフルなジャングルジムが、塔のように立っている。』

このデパートの風景ですが、春香さんの心象風景であり、情景描写のように感じます。
だからこそ、この『カラフル』な感じは意図的に表現したものなのではないでしょうか?
春香さんが今まで見ていた夢、思い出、それらが色と形と香り。
それらを二人を通り過ぎて、ステージに到達したのだと解釈させて頂きました。素敵な描写ですね。

そして春香さんと小鳥さんのヒーローについてのやりとり。
たまらないですね、夢を諦めようとしている子供と、夢を諦めて夢に憧れる大人との会話。
「お金にならないから、捨てられる」なんて言わないで下さい。お金にならないものをファンはいっぱいもらってます。
そんなことを言いたくなってしまいました。


(4) 眼光一閃

最後まで読んで、もう一度読み込むと、みんなみんな、春香さんの輝きをちゃんと見ていたんですよね。
今回は律子さんによってそのことが明確になっていますが、その会話の端々にそんな感が伺われます。
そして、春香さん自体は自分の輝きに気付いていなかった。仕方ないと言えば仕方ないのですが。
それが小鳥さんという魂の入った春香さんによって残酷に示されちゃうんですよね。
瞳って、その人の隠せない内面が如実に現れる部分です。皮膚で隠されていない生の部分です。
ここで一枚絵を持ってくるかあああああ!!と心の中で叫んでいました。素晴らしすぎる演出でした。
レーザービームで魂を射抜かれるといえばいいのでしょうか、それ位の衝撃がありましたね。

 『 春香の中で、小さな何かが、剥がれて落ちた。
   錆びついていた心。その奥にあったはずのものが、少しだけ見えてしまった。

   あんな風にはなれないと思っていた。春香には一生無理なのだと思っていた。そんな春香の
  考えは、「諦め」という錆びとなって心を覆い、そしてそれが春香を守っていた。

   なのに、あの「春香」を眺めていると、もしかしたら自分も、あんな風になれるのではない
  かと考えてしまう。ほんの数週間前までは、そんなことは考えもしなかった。考えれば考える
  ほど、怖かった。春香は、夢や希望が、どれだけ簡単に破れるものか知っている。
   だから――。』

痛切ですね…春香さんが小鳥さんとしてアイドルの実情を知っているから、余計につらいです。
これは春香さんの視点ですから、春香さんは錆びによって何かを守っていたということに気付いたんですね。
順当に考えれば、それは夢だったり希望だったりするのでしょうが、それだけではないですね。きっと。
春香さんは春香さんを見て別人を見ていると叙述していますが、うすうす気付いていたんじゃないでしょうか。
白に覆われて隠されていた世界の、色とりどりの可能性に。眩しくて見ていられないくらいの可能性に。
そんなことを、読みながら感じておりました。

そして、律子さんの言葉です。本当に765プロはいい人達ばかりだなぁ…と、春香さんは幸せもんだなぁ。

 『「アイドルランクとか、稼ぎとか、そんなものだけで春香の価値を決めつけないで下さいよ。
  そんな見方をする人達に、『それは間違いです』って誰よりも正面から言い続けてきたのは、
  他の誰より、小鳥さんだったじゃないですか!!」

   律子の言葉は、小鳥の身体をすり抜けて、内側の春香を直撃した。

 『「律子さん! 私が間違ってました。――天海春香は、立派なアイドルです!」』

猛烈な光のラッシュですね。もうここで完全に涙腺崩壊ですよ。
いい意味で、本当に素晴らしすぎて、この後の展開が予測できてしまうから、見ていられない。
ああそうか。書きながら気付きました。僕が見ていられない位眩しいって感じてたのは、
僕がレーザービームを喰らう前の春香さんみたいに、錆びで大切な何かをずっと覆っていたからでした。
眩しいけれど、もっと欲しい、もっと光を下さい。そんな感じで読み進めていきました。
もちろん涙腺は崩壊したまんまですよ。色々ぼろぼろですよ。ちくしょー責任取って下さい!!


(5) スポットライト

立つはずだったステージを、お客さんという立場から見る春香さん。

 『 屋上に到着した春香は、いつもと変わらない空気に触れて、大きく息を吸った。子供たちは
  ショーが始まるまでの時間、おいかけっこしたり、巨大な遊具の中で遊んでいる。その中には
  春香が知っている顔もあった。いつも決まって最前列を陣取る男の子。お気に入りのオモチャ
  片手に眺める女の子。』

淡々と流れていく風景。淡々と観察する春香さん。
でも、春香さんはお客さんをちゃんと見てるんですよね。そうじゃなきゃ、こんな台詞は言えません。
「いつも決まって」なんて、「お気に入り」なんて、ちゃんとお客さんを見ていないと分からないことです。
無意識下の描写が、じわりじわりとボディブローみたいに効いていますよね、今回のSS。
全般的にいえることなのですが、伏線というにはあまりにも絶妙すぎる描写だと思います。

そして、ヒーローコール。ああもう、お約束なはずなのに、どうしてこんなに涙が止まらないんでしょうね。
瞳には光があります。子供は欲望に忠実です。喝采を得るという意味では一番厳しいファンだと思います。
そのまっすぐすぎるお客さんの瞳のスポットライトは「天海春香」に集中している気がします。
本当のスポットライトなんてなくても、アイドルは輝けるんだ!みたいな、そんなロックソウルが!
今回の一枚絵SS、僕の中で最高のヒーローがステージに立ちます。


(6) トワイライトステージ

観客の期待を一身に受けて、輝くアイドル天海春香。
アイドルかくあるべしといいますか、そうだよアイドルってこういう存在なんだよと言いたくなりました。
今回は春香さん視点ということで、あえてステージ場面はあまり叙述されていないようですが、憎い演出ですね。
夕暮れは僕もよく使うシーンなのですが、祭りの後特有の高揚と、寂しげな雰囲気、まさにトワイライト。
なんかもう、春香さん終わってしまうのん…みたいな、ラストライブ後の風景の悲しさがよみがえりました。
ステージいた女の子ではありませんが、どうしてやめちゃうの?と言いたくなってしまいます。
そして自然と口をついて出た歌。たまらないです。

 『 プロデューサーは、観客席のひとつに腰を降ろし、静かにその歌を聴いていた。小鳥が歌う
 「空」は、いつもよりも柔らかい空気で、プロデューサーの中へと優しく染みわたってきた。
  今までの活動を振り返りながら、寂しくなっていた気持ちを、慰められたような気がした。

   ゆっくりステージを眺める暇も無かったプロデューサーは、ようやくその時間を迎えていた。
  ステージが終わるのを、惜しいと思ったのは、先程までの子供たちと一緒だった。
  プロデューサーは、小鳥が歌い終えるまで、その場にじっと座っていた。』

きっと本当に素敵な歌だったんでしょうね。泣きそうな位にやさしい歌なんだろうなぁ…。
夕暮れの色も共振して、本当に心が響くような、心を弔うような、そんな音がします。
ここでさりげなく視点が変更されているんですよね。春香さんから小鳥さんへ。
文脈からすれば、この小鳥さんは春香さんなのでしょうけれど、ううん、面白いです。

 『「小鳥さんは、本当に歌が好きなんですね」

   春香は息を呑んだ。震える両足を一喝すると、

  「――はいっ!」

   涙を必死に堪えて、それを受け入れた。大事な言葉だった。手放してしまいたくなかった。
   春香は、いくつかの言い訳を並べると、プロデューサーをそこに残して、ステージを離れた。
   大声で泣き叫びたかった。あるいは、一人になりたかった。

   ようやく本当の気持ちを見つけて、気づいた時には何もかもが終わっていた。絶望にも似た
  無力な気持ちを感じるのは、春香にとって、およそ、三週間ぶりのことだった。』

冒頭からの予測に基づけばおそらくそうなるであろうはずのラストへ向けて、静かに時間が動いてますね。
このあたりのシーンは、個人的に一番過ごしやすい空気でした。このあたりを僕はよく書きます。熱くて、涼しい。
そして、ラストまで、もう一歩。


(7) Changes.

 ここまでくれば、もう僕は何も言えません。ただ流れに乗って見守るだけでした。
 それにふさわしい文章の流れとスピード、淡々と載せられていきます。
 徐々に色づいていく景色。春香さん達をとりまく景色に入り込む個性豊かなアイドル達。綺麗ですね。
 春香さんと小鳥さんの日常が元通りになり、時間がまた進んでいく。
 ずっとずっと、アイドル達の等身大の、ゲームではない、生のアイドルの視点から物語が進んでいて、
 それを春香さんの瞳から見せて頂いた、みたいな、そんな感覚がしました。

 冬のように白黒だった世界が、春の如く鮮やかに彩られる世界へ。

 最高に素敵で心震える魔法、しっかり堪能させて頂きました。

 
長文になって申し訳ございません。語ることが多すぎて、つい長くなってしまいました。
SSの可能性といいますか、僕もいつかこんなSSが書いてみたいですね。いい意味でぐぎぎさせて頂きました。
本当に、本当に素晴らしいSSをありがとうございました!
小六 | 2010年06月06日(日) 22:28 | URL | コメント編集

>小六さん

コメントありがとうございます。小六さんから「読書感想文」という名の千本ノックを頂いてしまい、
寓話・ガルシアPともども「うわー!!」「どうするどうする!?」と、ボールを前に小躍りしています。

グローブを、ぱしぱし叩いてやわらかくしたところで、振りかぶって返球しないといけません。

小六さんにはそれ相応のボールをお返ししなくては!と、気合いを入れ直した寓話が
千本ノックに対しまして、今回はいくつもコメント返しをさせて頂きたく思います。

「今日はここからここまで」「ガルシアP、ないし他のお客さんも乗れたら」という感じの
「コメントに対してのツッコミOK」な、お返事コメントをしていく予定です。

※「小六さん宛てのコメント」は、不定期連載の如くポンポン続く形になりますが、
  寓話はいつでも誰とでもキャッチボールできるスタンスの構えで居りますので、
  気兼ねなくお越しください。(小六さんへの応援メッセージもOKですよ、プロデューサーさん!)

***

【コメント返しその1:(0)まえがき~(1)侵食する白の世界 まで】

>(0)まえがき に対するお返事

なんだかもうこの部分でコメント一つ分ですよねw 愛の籠もったラブレターを前に「わあー」と
喜んでしまいました。春香主役のSSを書くにあたって、やはり「春香推しなSS書き手さん」を
意識せずにはいられません。小六さんが喜んでる=春香推しさんを喜ばせられた、というのが
書き手にとっては一番安心できたところだったりします。

合作の利点のひとつとして、得意なところをブレンド出来る、重ねがけが出来る、というところが
あるのですが、【Changes.】のシナリオで言うなれば、

「雪歩推しSS書きの寓話が、どこか「雪歩」みたいな、落ちこぼれ風のダメダメ春香さんを書く」と、
「律子推しSS書きのガルシアPが、イラストに出演していない「律子」で話を転がす」という部分が
上手いこと噛みあったような気がします。得意なところをとにかくガンガン表に出していこう、という
パワープレイでした。
書き手同士で真剣勝負というか、いかに相手を感動させるか、という部分がシナリオの中身を一層
深いものにしていたように感じます。感動させられたらその倍感動させてやる!の心意気ですね。
ちょっとなんだか子供のケンカみたいですが、実に楽しいケンカでした。


>(1)「白の世界」のこと

「つかみ」の部分ですね。全プロットが完成して、初めて頭から「推敲」を行った部分でした。
参考になるかもしれないので、当時のリアルタイムログを引き合いに出してみようと思います。



[05/29 22:36:17] ガルシア: 『どのくらいの時間、気を失っていたのだろう。
              顔の上に白い紙が落ちてきたことに気づいて、春香は瞼を開いた。』
              ここなんですが、時間経過とこの文章を考えると、
[05/29 22:36:43] ガルシア: 白い紙の滞空時間がすごいか、春香の意識を失ってた時間が実は一瞬か、
             と読めるので、
[05/29 22:38:17] ガルシア: 『どのくらいの時間、気を失っていたのだろう。
             【春香が体の痛みに起こされて目を開くと、顔の上が白い紙で覆われていた】』
[05/29 22:38:45] ガルシア: とか、既に紙が落ちた後でいいかな、と思いました。表現はさておき。

[05/29 22:39:01] 寓  話: そうですね、白い紙が落ちてきた→白い紙が乗っている、でもいいかも。
[05/29 22:39:37] ガルシア: 紙が顔に落ちてきて、その「ふぁさっ」ていうので目が覚めるなら、
[05/29 22:40:00] ガルシア: 逆に意識が遠のく描写を軽くしたほうがいいですね。
             自分で書いておいてなんですが。

[05/29 22:40:17] 寓  話: 春香が先に目を覚まして紙に気づくか、紙によって目を覚ますか、ですね。
[05/29 22:40:20] ガルシア: 『深い暗闇の底へと沈んでいった。』だと、そうとう深い。
[05/29 22:40:40] 寓  話: 意識チェンジが行われているので、深さは難しいところです。
[05/29 22:41:03] 寓  話: でも行動でハッキリしているから、かえってサラッと流したほうがいいのかな。

[05/29 22:41:05] ガルシア: 一瞬、視界が真っ白になった。 くらいでいいのかも。
[05/29 22:41:23] ガルシア: 意識が飛んだ、とか。

[05/29 22:41:23] 寓  話: 真っ白になって気を失って、真っ白い紙に気づいて起きましょうか。
[05/29 22:41:44] 寓  話: 意識の白紙化と、紙の白紙を重ねてみる。文章的に。

[05/29 22:42:04] ガルシア: 真っ白になる、ってのは入れ替わる素地みたいでいいですね。
[05/29 22:42:17] 寓  話: リスタート、っぽいですよね。沈むより、白になる。
[05/29 22:43:04] 寓  話: 春香の意識は、【真っ白になった。】が、シンプルでいいかも。

[05/29 22:43:46] ガルシア: 【真っ白に塗りつぶされた】はどうだろう。
[05/29 22:43:56] 寓  話: 上書き感ですね
[05/29 22:44:04] ガルシア: 見えざる神の手。
[05/29 22:44:11] 寓  話: 真っ白になった、だと、何も考えられないみたいですもんね
[05/29 22:44:18] 寓  話: 塗りつぶしを頂きます。


……こんな感じです。当初は「深い暗闇の底に沈んでいった。」という部分だったところですね。

「暗闇ではなく、白というリセット感が強いものが相応しいのではないか?」という話し合いがあって、
「こうかな?」「こうかな??」と、共通認識のイメージを手探りしていたところです。
コツコツ部分というか、ぱっと見はちっとも解らないところのこだわりだったんですが、そこをズバッと、


>絵が一瞬にして頭の中に浮かびました。
>鮮烈な白主体のモノクローム。ラストから一気に色づいてくるわけですが、
>頭の中に白い紙がぶわっと舞いました。
>ズームアウトして終わる冒頭シーン。白い世界に放り出された(落下した?)二人。
>ぽかんと何もなくなってしまった白から、一体どんなお話が紡ぎだされるのだろうと、
>ドキドキしてしまいます。

こう切り返されると、もうもう、書き手としては「おおお…!」「隠し味に気づいてくださった…!!」と、
肩を震わせ感動するしかありません。そんなコメントが、このあとも山ほど続くわけですよ、もうもう!


>いわゆるよくある「入れ替わり」の話なのですが、ここまで見事に混乱を表現するその力に脱帽です。

よくある「お約束」なお話なので、読んだ方も「あるある」と、頷いてくださったのではないでしょうか。
自分が知っている話だと、トンデモ設定でも親しみが沸きますよね。そういうのを懸念した結果、もっとも
「入れ替わり」を表現するのに相応しかったのが、「階段で転げおちる」でした。

「どんがらがっしゃーん」なスキルを持っている春香と「ちょっとトンデモ設定でもついていける」小鳥さん。
二人が偶然重なって、偶然仮の姿を手に入れたところから、このお話は始まりました。

(2)春香さんと小鳥さん 以降へのコメントは、次枠に続きます。「次回へつづく!!」ですね。
なるべくマメに、毎日連載するように頑張りたい所存です。

みなさまからの熱いボールをどしどしお待ちしております!!
寓話 | 2010年06月07日(月) 18:54 | URL | コメント編集

振り返って。

正直、合作を引き受けた時、ここまで本気になると思っていませんでした。
決して手を抜くつもりだった、という訳ではなく、
最初寓話さんは、「楽しく一緒に作品を創りたいんだろうな」と思ってました。

SS読んで、コメントする時って、基本的に褒めるじゃないですか。
「ここが良かったです」「ここ、素敵です」「上手いですねー」って。
そういうのをお互いに言い合いながら、1本書くのかな、って思ってました。

違ってました。
初回の打ち合わせから、「ああ、寓話さん本気だ」ってのが伝わりまして。
とにかく曖昧じゃ許してもらえない。言葉は柔らかいんだけど、
「もう少し細かく教えてください」「それってどういう意味ですか?」みたいな。
……そうか。そういう力加減か、と。目が覚めました。
「じゃあ、俺も本気で言っていいんだな」「全力で行かないと失礼だな」と。

寓話さんから最初にもらったプロットは基本、春香と小鳥についてのラインだけだったので、
『一枚絵』としては成立していなかったし、大きなパーツはあるけれど、
それぞれが繋がっていなかったり、合間が抜けていたりしていたので、
じゃ、本気で組み立てて行こうじゃないか、と思いました。
『合作という名のお手伝い』を求められている訳じゃないんだな。
本当に、『ガルシアが混ざっても文句無い』んだな、って所が本当のスタートでした。

オンラインだけの繋がりで、顔も見たことのない相手と、
こういうテンションで付き合えるのって、とても幸せなことですよね。
相手が受け止めてくれる、って確信を持てないと、全力の球は投げられません。

かくして『Changes.』は、正しく『合作』となりました。
適当に、なぁなぁに創ったものでは無く、結構本気で検討と推敲を重ね、
試しに書き、それをもう一方の作者がリライトしたりして。

それが、読者の方にも伝わっているんだと思います。
この話は、本気で読んでくれた方には“響く”お話だと思っています。

あとは、「本気で読もう」と思わせるだけの入り口を作れるかどうか、が、
最初の問題であり、課題だったような気がします。


ちなみに今回、私が劇中に律子を登場させました。
でも、それは「ガルシアが律子好きだから」ではありません。
ありとあらゆる可能性を検討し、他の人物では見えないものを見て、
言えない言葉を言う役割を果たせるのが彼女だと確信したからです。
寓話さんの初期設定では、律子は既に765プロを離れていたのですが、
その設定を覆しました。それも、寓話さんが適当にガルシアに合わせたのではなく、
最初の設定の理由や、その場合の展開も全て語った上で、
この春香と小鳥をより輝かせる事ができるのはどっちか、という議論の末で。

でも、当初のガルシア案は、そのままは採用されていません。
その立ち居地はあまりに「春香」と「小鳥」に深入りしすぎていて、
物語の根幹に触れる内容――『入れ替わりに気付く存在』――だったからです。
(寓話さんは推敲段階でそれに近い役を高木社長で考え、丸ごと没にしていたようです)

それでも、やはり事務員としていつも小鳥の隣にいて、
アイドルとして春香達を見ていた律子にしか考えられない事、言えない台詞があります。
だから、どんどん語る。伝える。寓話さんの意見をもらう。練り直す。捨てる。閃く。
「A」→「B」→「C?」→「C’」→「「それだ!」」

これはもう、ある程度距離を置いての意見の出し合いではできない事です。
割と本気で戦ってました。
合作の同志で、相棒で、でも、1人のSS書きなのです。

紙の散り方、落ち方、色、意識の飛び方。意見出し合いましたね。もっといいものは?
春香。小鳥。ここは春香の意識。でも目の前に春香。
春香は目の前の「春香」を小鳥さんだと認識する? しない? なら、なんと表記する?

小六さんのコメントを拝見して、当時のやり取りが鮮明に思い出されます。
毎晩、熱かったなぁ。
考えた事も本気。目指したものも本気。だから、本気で読んでもらえた事、嬉しいです。
さて、こういうコメントリレーがまだまだ続く訳ですね。
熱い夜は、まだ終わりそうにありません。
ガルシアP | 2010年06月07日(月) 22:36 | URL | コメント編集

愕然。

冒頭から一気に引き込まれ、物語の展開に息をのみ、
そして、この物語の感想を書き込まずにはいられませんでした。

「アイドルは必ずしも成功するわけではない」

その当たり前のことに着眼しているのが素晴らしいです。
自分自身、ゲームでもプロデュースしているので本当に盲点でした。
そしてそこで足掻いている春香の姿も新鮮で、切ないものでした。

気がついたら春香の目で小鳥さんを見ている自分がいて。
痛いくらいに切なくなる自分がいて。
春香に「光」を見せてあげたくて。
だからこそ、最後のステージの展開がものすごく輝いて見えました。

そして水色の文字で描かれていた「次のステージ」への布石。
期待に胸が躍りました。
「春香はこれからも走れるんだ」と、わくわくしました。

ふたりでの合作は感動という名の心を満たす素晴らしい料理でした。
これからもおふたりの活躍に期待しております。

これは個人的に。
私もこんな物語が書きたいものです。いや、いつかたどりつく!
猫子P | 2010年06月07日(月) 23:21 | URL | コメント編集

>猫子Pさん

色んな場所でお話ししてきましたが、ブログでは初めましてですね。
猫子Pさんにお越し頂けて、とても嬉しいです。ありがとうございます。


>「アイドルは必ずしも成功するわけではない」

ごもっともです。そしておそらく「成功するアイドルの方が珍しい」。
大半のアイドルはおそらく「トップになる前に消えてしまう」のが、一般的なのです。
アイマスプレイヤーさんたちが、一人目のアイドルで実感するところでもあるかと思います。

アイマスに存在する、ランクアップリミットの色が最も強かったのが、
アーケード版、いわゆる「アケマス」だったのではないでしょうか。
決められた期限内にランクに届かなかったアイドルは「活動停止」してしまいます。
これはアイマスの、もっとも現実味のある部分だと思っています。
【Changes.】の春香も、周りに追いつけなかった、輝けなかったアイドルの一人でした。
「活動停止日」までの残り三週間、そこで春香に転機が訪れます。


>気がついたら春香の目で小鳥さんを見ている自分がいて。
>痛いくらいに切なくなる自分がいて。

春香は「IFの未来」を目にしてしまいます。「憧れたアイドル」のような自分です。
「もともと手に入らないもの」を諦めるより、「手に入るかもしれなかったもの」を諦めるのは、
おそらくずっと難しいんじゃないか、と思うのです。



>そして水色の文字で描かれていた「次のステージ」への布石。

寓話・ガルシアPが「もう絶対これ以外にない」と結論付けた、ラストシーンです。

猫子Pさんの中に、小鳥さんの歌う「空」は流れましたでしょうか?
空色に「チェンジ」したフォントにつられた先で、春の景色は見えましたか?
その先には「チェンジ」していた、素敵なロゴがあったかと思います。

“だって巡ってまた春が来るから――”

そのあとに繋がる歌詞は、自然と出てくれたのではないでしょうか。
ガルシアP渾身の「虹色」のロゴ。あれが、歌詞の続きの役割を果たしてくれています。

「フォントのチェンジ」「ロゴのチェンジ」、そして「書き手のチェンジ」で締めさせて頂きました。
ラストシーンの隠し玉に関しては、まだあと幾つか秘密が残っています。
読書感想文の小六さんへのお返事で、それらの謎あかしをしたく思っています。


>私もこんな物語が書きたいものです。いや、いつかたどりつく!

猫子Pさんのハートに火をつけられた、それだけで既に「満足」以外の言葉が出てきません!
読んでくださって本当にありがとうございました!!
寓話 | 2010年06月08日(火) 04:15 | URL | コメント編集

>ガルシアP と 読者のみなさま。

>さて、こういうコメントリレーがまだまだ続く訳ですね。

まだまだ続きますよ!
「ぐるm@s!」のコメント記事に追いつけ追い越せ!の意気込みです!
100球投げ込む準備も万端です!!


>ちなみに今回、私が劇中に律子を登場させました。
>でも、それは「ガルシアが律子好きだから」ではありません。
>ありとあらゆる可能性を検討し、他の人物では見えないものを見て、
>言えない言葉を言う役割を果たせるのが彼女だと確信したからです。

ガルシアPはこんな、「しれっ」とカッコよく言っていますが、寓話視点では何度か
「もう!ガルシアさんは律っちゃん出しすぎです!」的なお叱り風景があったことを、
読者のみなさまにお断り申し上げます。

自分のごひいきキャラには甘く、ごひいきゲームにはより甘い。
そんな二人が書いた、「大好きなアイマスSS」です。

ゆっくり盛り上がっていってね!!
寓話 | 2010年06月08日(火) 04:24 | URL | コメント編集

> とりあえず寓話さん、そして皆様

そういう事までバラすとな!?
せっかく寓話さんのキャラを守ろうと、綺麗に書いたのに。

……そうですね。合作執筆期間を振り返ると、
寓話さんに叱られてばっかりだった気がします。
一番の根っこが寓話さんの起案だった、ってのも大きいのでしょうが、
世界レベルのゴールキーパー相手にシュート蹴ってる心境でした。
「ぬぅ! これも止められるのか!」

その間隙を縫ってネットを揺らした何本かのシュートは、
そりゃ美しいスーパーシュートですとも。
青リンゴスカッシュ片手に小鳥さん(中身は春香)に言葉をぶつける律子とかね。

合作、楽しいです。
誰かと一緒に書くことは、とても勉強になるし、
絶対に自分一人では書けないものが生まれます。
そして、なぜそれが生まれるのか、肌で感じることができます。
これは、本当に面白く、有意義なので、ぜひまたやりたいと思います。

ただ、気をつけてね!
寓話さんはみんなが思ってる以上に、スパルタだよ!!



ガルシアP | 2010年06月08日(火) 15:34 | URL | コメント編集

> 猫子P さん

猫子さんにもコメント頂きました。
ありがとうございます。


> そして水色の文字で描かれていた「次のステージ」への布石。
> 期待に胸が躍りました。
> 「春香はこれからも走れるんだ」と、わくわくしました。

書き手の感覚とピッタリ同じものを受け取って頂けた、
というのはとても嬉しいです。
春香は、ちょっとだけ歯車が噛み合わなくて。
春香は、ちょっとだけ諦めるのが早くて。
春香は、ちょっとだけ上を向くのに疲れちゃってて。

でも、地面から飛び立つ鳥を目で追って、
久しぶりに空を見たら、そこには大きな虹が掛かってて――

また歩き出すしか、ないですよね。

誰にでも、そんな時期ってあると思います。
思い通りにならなかったり、どこか空回りしちゃったり、
目指すものに手が届かなくて、諦めた方がらくかも、って思っちゃったり。

そんな時に、小さな小さな光一つで、考え方が変わったり、
視点が変わったり、気持ちが切り替わったりするかもしれません。

この作品が、もしかしたら誰かの光になるかも、なんて事すら、
書きながら考えた作品でした。


> 私もこんな物語が書きたいものです。

歩んで参りましょう。共に。
ガルシアP | 2010年06月08日(火) 19:58 | URL | コメント編集

>小六さん(その2)

短期集中連載「小六さんへのコメント返し」。前回の続きからどしどし行きたいと思います。


【コメント返しその2:(2)春香さんと小鳥さん~(4)眼光一閃 まで】

(2)春香と小鳥さんの共通項


>春香さんにとって小鳥さんは、春香さんが憧れていた「歌のお姉さん」になれる存在なんですよね。

小六さんの仰ったところが、まさにこの話の「核」とも言うべきところにあたります。
春香コミュ「ある日の風景3」。
春香が「歌を頑張るきっかけ」になった「歌の好きなお姉さん」の話です。

このコミュで春香は、
・小さい頃 ・公園に似た雰囲気の場所で ・歌の好きなお姉さん に遭遇しています。
このコミュを使って、ちょっと斜めに見てみようと考えたのが、そもそもの発端でした。

春香は「歌の好きなお姉さん」に「現代」で遭遇し、「歌を頑張るきっかけを貰う」というものです。
小鳥さんが「昔」、歌のお姉さんだったんじゃ?という創作話は、ときどき見かけますが、
小鳥さんが「今」、歌のお姉さんになれば面白いんじゃ?という発想が、本作に繋がっています。

憧れになった「歌のお姉さんの姿」が、「春香にそっくり」だったら面白いなあ、と思ったのです。


>春香さんの心境やいかにって感じです。

「能力がダメだから」「みんなとは違うから」と諦めていた春香が、理由を覆されるところですね。
同じ能力下で、みんなと肩を並べている「春香」を見てしまって、理由がなくなってしまいます。
当たり前のように使っていた逃げ道が、突然塞がれてしまった。塞いだ相手は、眩しい笑顔。
これはもう、春香さんの心境やいかに。いかにいかに!ですね。春香さんの存在理由って??
みたいなレベルでショックなんじゃないでしょうか。
逃げ場をなくした春香が、ここから「別の道」を捜すために、動き始めます。


(3)デパートの様相

デパートの内部描写は、ガルシアPの独壇場でした。
ガルシアPはしばしば自作SSの中に、「ハイセンスな小道具」「印象に残るアイテム」を
差し込み、「雰囲気に高級感を与える」のに長けた書き手さんのように思います。
自分は作品内で人を何かに喩え(寓意=アレゴリー)、それを暗喩することを作品の色と
していますが、ガルシアPの場合、それらの小道具やアイテムが作品の色となっているように
思います。通称「ガルシアブランド」と呼ばれる強烈なブランド力を、合作中に広げたいな、と
常々思っていました。

前半プロットの執筆をお願いしたときに「何かガルシアブランドを入れてください」とお願いした
ところ、ガルシアPは「本編に喰い込まないような、雰囲気程度で少しだけ入れてみましょう」と
お返事を下さいました。その部分がまさに、デパートの内部描写にあたります。

ガルシアPは、華やかできらびやかな階下を「賑やかな芸能界」に喩え、
「そこに居られなくなり、半ば追い出されてしまった」春香を、屋上へと連れだしました。


>デパートの風景ですが、春香さんの心象風景であり、情景描写のように感じます。
>だからこそ、この『カラフル』な感じは意図的に表現したものなのではないでしょうか?
>春香さんが今まで見ていた夢、思い出、それらが色と形と香り。
>それらを二人で通り過ぎて、ステージに到達したのだと解釈させて頂きました。素敵な描写ですね。

「春香が今まで見てきた世界」と、「春香がもう居られなくなった世界」。
小六さんの解釈と、ガルシアPの生み出した描写が、殆ど重なっているのを、面白く拝見しました。

春香の居場所として唯一許された、デパートの屋上。そこで交わされるヒーロー自論。


>夢を諦めようとしている子供と、夢を諦めて夢に憧れる大人との会話。

大人の姿を得た春香が、より子供のように。子供の姿を得た小鳥さんが、より大人のように。
そんな風に見えていたら、とても嬉しく思います。


(4)「一枚絵」使用プロット


>春香さんは春香さんを見て別人を見ていると叙述していますが、
>うすうす気付いていたんじゃないでしょうか。
>白に覆われて隠されていた世界の、色とりどりの可能性に。
>眩しくて見ていられないくらいの可能性に。
>そんなことを、読みながら感じておりました。

他人を見ていたつもりが、鏡の前に立っていた、という感じですね。
タチがわるいのは、鏡の自分の方が幸せそうで、キラキラしているということでしょうか。
「自分から目を逸らす」ことほど難しいことはありません。春香はここでも転機を迎えます。
「自分の望みからは目を逸らせない」ことに、気づいてしまうのです。


>猛烈な光のラッシュですね。もうここで完全に涙腺崩壊ですよ。
>眩しいけれど、もっと欲しい、もっと光を下さい。そんな感じで読み進めていきました。
>もちろん涙腺は崩壊したまんまですよ。色々ぼろぼろですよ。

この律子さんパートはガルシアP渾身のターンです。魂こもってます。
作中で、こんなに長いセリフをしゃべってるのは、律子さんだけ。
春香や小鳥さんの出番を抑えて、律子が正義の金槌を振りかざすところです。

ザクザクと容赦なく手直ししてきた寓話ですが、これだけは「触れない」と思いました。
ガルシアPの「信念」みたいなものが、ここの台詞に凝縮されています。
説得される春香じゃなくとも、一瞬たじろいでしまうエネルギーが沸いています。
光のラッシュがここにあります。


>ちくしょー責任取って下さい!!

自分もこの辺りでティッシュが尽きるんですよ。ここから先は号泣危険区域なんですよ。
「一風堂」の白丸ラーメン食べに行きましょうか。自分は食べたくなってきました。
お腹が空いてきたところで、今回はこの辺で。
(5)スポットライト 以降のお返事は、次枠に持ち越しです。

みなさまからの熱いボール、まだまだお待ちしております!!
寓話 | 2010年06月08日(火) 20:16 | URL | コメント編集

>小六さん(その2)

うん。この順番は不利だ。
合作とその後の座談でほとんど全部共有してるから、
寓話さんの後だとあんまり語る事ないぞ。
よし、じゃあ、寓話さんにも言ってない事を言えばいいんだな。

デパートのシーンは、それこそ色々な物の暗喩です。


> 時代遅れの外観と言ってしまうよりは、
> それ相応の年季と風格を備えたようなデパートだ。

これは、芸能界の事です。伝統があり、ルールがあり、
みんなが知っていて、ゆるぎないものです。


> アイドルの春香には、なじみ深い場所になっていた。

アイドルの春香、とわざわざ書くのは、この後の寂しさの強調の為です。
春香はアイドルなので、芸能界の事を良く知っています。見ています。
でも、中心には立てていません。横目で見る程度の距離感です。


> デパートの南口から入り、店内の音楽を聴きながら歩く。

千早。

> 華やかなコスメティックのエリアでは、
> シャネルイヴ・サンローランが、尖った香りで勢力争いをしている。

伊織美希

> そんなエリアを抜け、エスカレーターで順に登っていく。

3人と同じステージに立てない春香は、
デパートで最も華やかな1階からどんどん遠ざかります。


> 婦人服、ジュエリー、紳士服、文房具。そして屋上――。

どんどん華がなくなっていきます。
どんどん、寂しくなり、どんどんデパートの購買層から離れていきます。
行き着いた先は、子供の遊び場です。
全くお金にならない、利益を生まない、大人が見向きもしない空間。

そこが、春香に似合いの場所。
全力で掴み取ったステージ、という現実です。


> その屋上には子供たちのための遊び場が開かれていた。
> アスレチック型の巨大な遊具を中心に、周りにはブランコや
> シーソーが並び、カラフルなジャングルジムが、塔のように立っている。

さて、これはこの時の春香の目にどう映っていたでしょう。
私も屋上のヒーローショーのステージではなく、
1階の、有名ブランドの写真やCMに出たい、と思っていたでしょうか。
私には無理だ、と自嘲していたんでしょうか。

でも、この屋上が実は夢の国であり、魔法のステージであるという、
ラストに向けての展開で、全てを覆していく訳ですね。
お金じゃない。アイドルランクじゃない。
そんなもので、人は量れないんです。ええ、全く。
それを教えてくれるのが小鳥さんであり、それを人に伝えるのが、アイドルです。
ガルシアP | 2010年06月08日(火) 21:06 | URL | コメント編集

>ガルシアP(コメント二本分)

>せっかく寓話さんのキャラを守ろうと、綺麗に書いたのに。

今更ムリですよ!自然体で行きましょうよ!w

>寓話さんはみんなが思ってる以上に、スパルタだよ!!

スパルタな寓話でもいい!ってみんなも言ってくれるはず……!(多分)

***

デパートの暗喩には気づきませんでした。
ここで言われて「おお!」「これはすごい!」と人ごとのように
喜んでいる自分がいます。ガルシア先生ぱねぇっすね…!

「音楽」の千早と、「香水」な伊織美希。
どこか「ボーカル」「ビジュアル」の属性を彷彿とさせる喩えですね。

そういう「得意ジャンル」を伸ばすまでにも至らなかった春香は、
ステータス領域が小さいまま、屋上を目指したわけです。
いや、目指すしかなかったわけですね。
デパートの内部に、春香の居場所は無かったわけですから。

……深いなあ、デパートシーン。
寓話 | 2010年06月08日(火) 21:43 | URL | コメント編集

概念的にいきます

今回のみんなの熱い魂を俺も感じたいので
寓話先生とガルシア先生の返答に対して俺も心よりの
お返事をさせていただきたいと思います

寓話先生へ
 基本自分は特にそういう部分があるのですが、自分にないものって憧れますよね
隣の芝生は青いとかそんな感じで 自分が見えていない他人の視点が凄く輝いて
いるように思えるんですよ それはでも裏を返すと他人からみて自分の視点も
相手にとって見えないから貴重なんだろうなと 今回のこのコメントでも
作品の技術面等について詳しく語るコメントもあれば、概念的な話を只管
するコメントもある それらのコメントを寓話先生とガルシア先生が貴重な
物と思っていただけるなら嬉しいし それに対するコメント返しから
コメントした側も何か新しい視点を得られる みんなない袖は振れないからこそ
他人と一緒に何か出来るのかなと思います

 作中の春香は、短期間とはいえ小鳥さんの人生を背負ったわけで 
2人前とはいわないまでも、1.05人前の人生を背負っての再スタートなわけです
そして、多分春香の最大の武器は 小鳥さんの視点から自分のいい部分を見たという
ことではなく 「他人の視点」があるという事をこれからも覚えていて、自分だけでなく
他人をしっかり見据えて、春香は仲間を助け、仲間は春香を助けてくれるという
仲よく、また絆の深い765プロに成長できることなのかなと思います
 
ガルシア先生>
寝ている時に夢を見るというのは、脳の整理のためという話も聞いています
まさに、春香と小鳥がみた夢というのは 埃が溜まった部屋の大掃除だったのかなと
夢は最初みんな輝いているけど、放置していたら汚れてしまいますものね

失った時に気付くって、何が一番恐いというのは大抵取り返しがつかないことなんですよね
みんな失って後悔して、それで立ち止まってさらに後悔するという悪循環に陥りますから
ご都合主義といわれようが、予定調和といわれようが、前を向いていればきっとこういう
ささやかな幸運って巡ってくると思います 
 春はまた巡ってきますけど、ただ春を待つだけでは凍死してしまいますからね
 春香と小鳥さん 二人の心が温かい気持ちを再発見したからこそ冬の冷たさを
乗り切れたかなと 




 そして本当にこの春香が感じたように、自分で価値がないと思っていても
他人は価値を認めてくれている 価値なんて自分だけて決まらない
 SS書きとして自分はまだ自信がありませんが、この作品のように
きちんとみてくれる人がいることを胸に秘めて頑張れます

 俺も春がきっときますから
トリスケリオン | 2010年06月08日(火) 21:50 | URL | コメント編集

感想文を、書きました。

http://blog.goo.ne.jp/recip_2008/e/75ddafce49ce176a0894fe26595b24e1

ごちそうさまでした。
なんと言うか、僕にはこういう方法しかなかったようですw
レシ | 2010年06月09日(水) 17:20 | URL | コメント編集

> トリスケリオンさん

> 寝ている時に夢を見るというのは、脳の整理のためという話も聞いています
> まさに、春香と小鳥がみた夢というのは 埃が溜まった部屋の大掃除だったのかなと

部屋の掃除、はいい例えですね。
人と交流がなくなる、あるいはゲストが遊びに来なくなると、
部屋って簡単に汚れてしまいます。
自分はみんなと違う、みんなの所までは行けない――と、
自ら玄関を閉ざし、鍵を掛けた春香の部屋は、やはり掃除が必要でした。


> 夢は最初みんな輝いているけど、放置していたら汚れてしまいますものね

全く、その通りですねー。
春香さんの姿は、もちろん私達の姿でもあります。


> 失った時に気付くって、何が一番恐いというのは大抵取り返しがつかないことなんですよね
> みんな失って後悔して、それで立ち止まってさらに後悔するという悪循環に陥りますから

復活。逆転。ターンオーバー。
その為の転機、きっかけは、いつどんなタイミングで訪れるか分かりません。
そして、それがそれと気付けるかどうかも。
いや、でも分かるのかな。やっぱり。
冬が春に変わる、その瞬間は分からなくても、
やはり春の訪れは確信できるものですよね。


> ご都合主義といわれようが、予定調和といわれようが、
> 前を向いていればきっとこういうささやかな幸運って巡ってくると思います 
> 春はまた巡ってきますけど、ただ春を待つだけでは凍死してしまいますからね

信じること。諦めないこと。
過去の自分を否定しないこと。夢を捨てないこと。
そして、一歩を踏み出すことです。


> 春香と小鳥さん 二人の心が温かい気持ちを再発見したからこそ> 冬の冷たさを 乗り切れたかなと 

この先に何が待っているかは、読者の皆様の心に委ねても良いと思います。
きっと、人それぞれの想いがあると思います。

この物語が完璧で究極だとは申しません。
人により、好みはそれぞれですから。

ですが同時に、寓話さんとガルシアが今持てる力を出し切った、
どちらか一人では書き得なかった、一つのきらきらとした結晶です。
この輝きが、誰かの何かを刺激してくれたら、とは願っています。
ガルシアP | 2010年06月09日(水) 20:23 | URL | コメント編集

>トリスケリオンさん(その2)

「また遊びに来てくださいねー!」と背中に声を掛けてみたところ、
「また来るよ!」「俺の豪速球を待ってろよー!」という感じのtwitterレスを見かけて、
トリスケさんの再来日をわくわくしていました。たびたびのコメントありがとうございます。


>自分にないものって憧れますよね
>自分が見えていない他人の視点が凄く輝いているように思えるんですよ
>見えないから貴重なんだろうなと

まさしく【Changes.】の春香ですね。春香はもう周りが眩しくて仕方なかったと思います。
憧れるものに手が届かなくて、手に入れるのを諦めてしまったが故の「錆び」です。
心が錆びれば「悔しさ」さえ感じない。だからこそガサガサに乾いてしまったのかもしれません。


>それらのコメントを寓話先生とガルシア先生が貴重な物と思っていただけるなら嬉しいし
>それに対するコメント返しから コメントした側も何か新しい視点を得られる

貴重ですよー! 作品に対するコメントで、嬉しくないものはひとつもないです。
今回たまたま大勢のお客さんが来て下さって、それこそ山のようなお言葉を頂戴しましたが、
「書き手」と「読み手」の間で、【Changes.】が一層磨かれていくのを感じます。

ただポンと投下してそれきりの作品、では終わらなかった。
投下してから幾日も経ちますが、未だにあちこちで話題に拾っていただけています。
楽しまれた皆さんに末永く可愛がって貰えて、書き手はニコニコするしかありません。


>多分春香の最大の武器は
>「他人の視点」があるという事をこれからも覚えていて、
>自分だけでなく 他人をしっかり見据えて、
>春香は仲間を助け、仲間は春香を助けてくれるという
>仲よく、また絆の深い765プロに成長できることなのかなと思います

独りよがりだった春香も錆びを落とし、エンディングでは仲間と肩を並べることができました。
春香が欲しかったものは、もともと春香の周りに全て揃っていました。
小鳥さんを介して、「それらは自分の手の届く場所にある」と理解して初めて、
春香は自分の「憧れ」に手を伸ばすことが出来たのでしょう。

綺麗なまとめになってしまいますが、やっぱり「みんなまとめてアイドルマスター」ですね。
あれもこれもと欲張った挙句、オールスターを出して良かったなあと思っています。

***

「一枚絵」の企画も、独りよがりでは決して良いものにできないと思います。
主催者のトリスケさんも、いろいろ進行で悩まれることもあるかと思いますが、
周りには「一枚絵でSS書きたい!」「書かせて下さい!」と言った参加者も大勢いますし、
それこそ一枚絵SS四天王は揃ってバックアップさせて頂く所存ですので、
無理しない程度で、企画の現状改善と進行、がんばってくださいね。
一参加者として、「一枚絵」SS企画の一層の盛り上がりを応援しています。

コメントどうもありがとうございましたー!
寓話 | 2010年06月09日(水) 21:07 | URL | コメント編集

>小六さん(その3)

短期集中連載「小六さんへのコメント返し」。次回で最終回になります。全四話ですよ!


【コメント返しその3:(5)スポットライト~(6)トワイライトステージ まで】

(5)ファンと春香の関係


>淡々と流れていく風景。淡々と観察する春香さん。
>でも、春香さんはお客さんをちゃんと見てるんですよね。

低ランクのアイドルならでは、な心境ですね。数が少ないからこそ、ファンの認識性が高い。
数少ないファンは大半が子供です。それでも、この子たちの前なら、春香はアイドルでいられる。
春香を「アイドル」として見てくれたファンが、デパートの屋上に集まっているのです。

オモチャの女の子は春香に、春香を「ファンのヒーロー」たらしめる言葉を掛け、
最前列の男の子は春香に、春香が「本来立つべき場所」を、暗示していました。
春香はファンの手によって、アイドルとしての足場を固めて貰ったのです。

ガルシアP曰く、春香は「周囲から固められてトップに立つアイドル」だそうです。
ファンに始まり、Pや事務所の仲間、そして小鳥さんが、「アイドルとして必要な物」を差し出し、
春香は捨てたそれらを、改めてひとつずつ受け入れていく――のが、このお話なのです。


>本当のスポットライトなんてなくても、アイドルは輝けるんだ!みたいな、そんなロックソウルが!

ロッカー小六さんの「ロックソウル」頂戴しましたー!わーい!!

>今回の一枚絵SS、僕の中で最高のヒーローがステージに立ちます。

今回の一枚絵SS、寓話の中で最大賛辞と言っても過言ではないお言葉も、頂戴しました。
他の参加者さんから一斉闇打ちされる覚悟と共に、ありがたく受け取らせていただきます!


(6)春香のステージ


>祭りの後特有の高揚と、寂しげな雰囲気、まさにトワイライト。

輝き尽くした小鳥さんと、きらめく舞台を目にして放心状態な春香のシーンですね。
全てが万事うまくいったはずなのに、どこか物足りない空気が流れます。
春香とPと読み手さんが「同じ空気」を感じて頂けたらいいなあ、と思った部分です。


>ここでさりげなく視点が変更されているんですよね。春香さんから小鳥さんへ。

「P視点」からみた春香は、あくまでも「小鳥さん」なんですよね。
春香の最後のライブは、「春香の最初のファン」に捧げる形になりました。
そしてここに、寓話が作中で最も好きな一行があります。

『小鳥さんは、本当に歌が好きなんですね』

これです。
シーンそのものは、かなり初期に完成し【Changes.】の流れを決めた部分でした。
いわゆる裏話的な部分になりますが、当時のリアルタイムログを一部引用します。



(※二人が元に戻る前に、春香に「見せ場」を作れないか? という話題の最中でした)

[05/23 21:35:45] ガルシア: 言われて、フッと思ったのは、
[05/23 21:36:27] ガルシア: 小鳥さんがやり切った後の無人のステージで、たった一人立つ
             春香in小鳥さん、というのは、心を打つかもしれません。
[05/23 21:36:51] ガルシア: 暗い客席、静かなステージ。そこで、春香は夢を見る――。
[05/23 21:38:13] 寓  話: 先程述べた「入れ替わり」の時と同じような、
             心情台詞を入れられたら、入れたいですね。
             春香と小鳥さんが共通して考えられること。
[05/23 21:38:38] 寓  話: 『アイドルには向いていないかもしれません(※)』の
             対になるような言葉。(※初期には在った台詞でした)
[05/23 21:40:02] 寓  話: ガルシアさんの仰る無人ステージが有れば、
             個人的にはそこで春香Pに来て欲しくなります。

[05/23 21:40:26] ガルシア: ああ、ステージに立つ小鳥さんを見る訳か。そうなると、Pは。
[05/23 21:40:47] 寓  話: 「一曲、歌ってくれませんか?」みたいな。
[05/23 21:41:11] 寓  話: 春香は皆の前では歌えなかったけれど、Pの前では歌える、
             みたいなのもアリかなって。

[05/23 21:42:20] ガルシア: うわぁ。泣くなぁ。
             春香:「すいません。私の歌なんて、ダメですよね。
                 い、いえ、いつもはもっと上手く――」
[05/23 21:42:51] 寓  話: これ、どっちだろう。
             Pはチェンジ気づいてるのかなあ。
[05/23 21:43:12] 寓  話: 最後まで春香・小鳥が秘密を守りつづける、と
             いうのも良いと思っているので。
[05/23 21:43:49] 寓  話: Pが気づいていなかったとしたら、小鳥さんの歌を聴いて、
             「春香もこういう歌を歌えるようになりますかね」
             とか言ってくれたら、嬉しいと思います。

[05/23 21:44:15] ガルシア: 秘密は、守っているでしょうね。誰にも言わないはず。
[05/23 21:46:09] 寓  話: 春香Pに、春香の頑張りを認めてもらえたらいいですよね。
             春香はあまりヒーロー部分が無いので。小鳥さん相手に、
             春香と気づかないまま、春香を気遣う言葉が出たりしたら良いかも

[05/23 21:46:41] ガルシア: その流れを背負って、俺なら、こうするPのセリフ。
[05/23 21:47:05] ガルシア: 「小鳥さんは、本当に歌が好きなんですね」
[05/23 21:47:15] 寓  話: それだ……!!
[05/23 21:47:35] 寓  話: それは、小鳥さんも春香も嬉しい台詞ですよ。

[05/23 21:47:40] ガルシア: 春香、泣きながら 「――はいっ!」
[05/23 21:47:50] 寓  話: 小鳥さんも、内心(――はいっ!)
[05/23 21:47:58] 寓  話: というか、小鳥さんは、何処だw

[05/23 21:48:09] ガルシア: 知らんw



ぼんやり考えた「小鳥さんのステージの後」。リレーSS的なパスが、どんどん世界を構築
していきました。気づけば、ガルシアPが見事にゴールを決めていました。「これはいいなあ」
「ここを目指して話を書きたいなあ」と思った瞬間です。春香は途中で色んな目に遭いながら、
それでも最終的にPの前で歌うため、小鳥さんの姿で頑張りました。いくつも大きな山を越え、
熱くて涼しいシーンを迎え、


>そして、ラストまで、もう一歩。

小六さんへの感想文のお返事も、あと一歩。長く続いてきましたが、次回でラストです。
最後まで全力投球で行きますよー!
寓話 | 2010年06月09日(水) 22:33 | URL | コメント編集

>小六さん(その4)

短期集中連載「小六さんへのコメント返し」。四日間のお付き合いありがとうございます。
コメントのお返事と共に、ラストシーンを振り返りたく思います。


【コメント返しその4:(7)Changes.】

(7)作中で変わったもの


>それにふさわしい文章の流れとスピード、淡々と載せられていきます。
>徐々に色づいていく景色。
>春香さん達をとりまく景色に入り込む個性豊かなアイドル達。
>綺麗ですね。

「綺麗ですね。」とまっすぐ言いきられてしまうと、こちらはもう、ニヤニヤしながら
「作品が綺麗なのは、読み手さんたちのお陰です!」と力説したくなってしまいます。
たくさんの人に読んでもらって、感想を頂いて、初期より遥かに眩しくなりました。
驚くほど長いコメント欄を埋める言葉が、なにより綺麗な虹に見えてしまうのです。


>春香さんと小鳥さんの日常が元通りになり、時間がまた進んでいく。
>ずっとずっと、アイドル達の等身大の、ゲームではない、
>生のアイドルの視点から物語が進んでいて、
>それを春香さんの瞳から見せて頂いた、みたいな、そんな感覚がしました。

ゲームの中では「三週間」なんて、ほんの数回分にしか過ぎませんが
低ランクでゲームオーバーを迎えることになった当のアイドルにとっては、
それはそれは長い期日なのではないでしょうか。
リセットボタンを押さずに、最後まで見届けたひとつの世界が、ここにあります。


>冬のように白黒だった世界が、春の如く鮮やかに彩られる世界へ。
>最高に素敵で心震える魔法、しっかり堪能させて頂きました。

冒頭のロゴは、モノクロで錆びついていましたが、
最後のロゴは、カラフルで虹色がかかりました。

ガルシアPの魔法のしわざです。

その効果は絶大で「冒頭を見にいってしまう」という魔法が掛かっています。
寓話は何度かかったか解りません。今でもひっかかってしまうのです。
とんでもない魔法を掛けてくれた、と、ひっかかって嬉しくなるたびに思います。

***

長々とお送りしてきた、【Changes.】お返事記事。
最終回ということで、いろいろまとめておこうと思います。

『文中で変わったものたち(三点)』
・春香と小鳥さんが入れ替わる
・ダメダメだった春香が変わる
・小鳥さんがヒーローに変わる

『文章で変わったものたち(二点)』
・フォントの色(黒→空色→春色)
・ロゴのパターン(白黒→虹色)

『作業中に変わったものたち(一点)』
・ラストシーン、書き手の担当プロット

***

【ラストシーン、裏話その1】

ラストプロットに限り、今までの構成とは全く違う書き方を採用しました。
「春香とPのシーン(黒パート)」を寓話が、
「事務所のシーン(空色パート)」をガルシアPが担当して書き上げ、
個別に書き上げた文章を、バラバラにして差し込む、という方法をとっています。

※数行ごとに、「書き手」がチェンジしていた、というわけです。


【ラストシーン、裏話その2】

本作におけるイメージ曲は「空」と「Colorful Days」でした。
これは、ラストシーンも継続しています。

「空」はわりと解りやすく、「Colorful Days」は隠し味で入れてみました。
ガルシアP担当の、社長に始まり、小鳥さんに終わる、リレーのシーン。
登場アイドル達の順番は「Colorful Days」の歌詞順になっています。

※「いやそれ知ってた!」というツワモノのお返事、お待ちしています。

***


>長文になって申し訳ございません。
>語ることが多すぎて、つい長くなってしまいました。

>SSの可能性といいますか、僕もいつかこんなSSが書いてみたいですね。
>いい意味でぐぎぎさせて頂きました。

寓話・ガルシアPの両名が、ひとつだけ欲を出していた点を挙げるなれば、
「この合作を読んだ人の中で、何かが変わったら嬉しいね」という所がありました。
7つ目の「変わったもの」「イレギュラーな部分」として
『読み手側の変革』を望んでいたのです。

これはすこし傲慢な願いかもしれません。でも、コメントの反応の良さが、
それを示しているような気もするのです。読み手さんたちは、いつにも増して
たくさん感想を述べてくださいました。書き手さんたちは「自分も書きたい」と
仰ってくださっています。まさか小六さんがグギギするだなんて、提出前には
想像もできませんでした。想像以上の結果を残せたのだと自負しております。


>本当に、本当に素晴らしいSSをありがとうございました!

今までで一番長いSS感想文を頂戴して、お礼の言葉がみつかりません。
こちらこそ本当に、素晴らしい感想をありがとうございました!!


***


みなさまからの熱い言葉に支えられながら、コメント数も40の大台を突破しました。
キャッチボール行為そのものが「繋ぐレインボー」になったなあ、と実感しています。

寓話はまだまだ元気です。ふらりと立ち寄った方、コメントの長さに呆れた方、
思いの丈をボールにして、ぽんと放り投げてください。
寓話は嬉々として投げ返す所存です。まだまだコメントお待ちしております!
寓話 | 2010年06月10日(木) 21:26 | URL | コメント編集

コメント返しー。

> 淡々と流れていく風景。淡々と観察する春香さん。

この辺りを思い起こすに、淡々と、という印象は強いですね。
寓話さんとガルシアの書き方・演出で一番異なった部分かもしれません。

物語の構成を次元的に解釈し、例えば「点」「線」「面」「空間」と分類すると、
ガルシアの得意領域が「点」と「空間」、寓話さんの得意領域が「線」と「面」の印象です。
寓話さんは常に無限遠点まで見通し、地平・水平の先まで考えていました。
だからガルシアが「ここはこんな演出で!」「こうしたら盛り上がるよ!」と浮き足立っても、
常に冷静に「ダメです」「削ってください」と言えるんですねー。すごいですねー。


> 全般的にいえることなのですが、伏線というにはあまりにも絶妙すぎる描写だと思います。

2人で書いて組み合わせ、混ぜ合わせた作品なので、
伏線が上手く噛み合っていたと感じて頂けたら、幸いです。
「この作品で何を伝えたいか」というのがずっとブレなかった、
御者としての寓話さんの手綱捌きに助けられました。


> 今回の一枚絵SS、僕の中で最高のヒーローがステージに立ちます。

過去を背負い、今を憂い、未来を夢見て。
無くしたはずの物、手に入らなかったはずの物、諦めたはずの物を、その手に。

その後はご感想頂いた通りであり、寓話さんのお答えの通りですね。
祭の後の寂しさ。全て上手くいったはずなのに、残る焦燥感。
春香が、救われていないんです。
心を錆び付かせてまで守っていたのに、それを剥がされ、生まれる焦りと後悔。
私も、もっと――。私は、まだ――。

そして、Pの言葉に応え、全てが終わったはずの、暗いステージで歌を歌います。
無くしたはずの物、手に入らなかったはずの物、諦めたはずの物を、その歌に込めて。

歌が好き。

その、パンドラの箱の底に残った一握の砂のようなキラキラとした想いが、
歌に乗って、Pにも届きます。

その想いを、Pは認めてくれました。
外見が春香ではない。Pは、自分を春香だと思っていない。
それが、本当に大事な点でした。

春香を見て同じ事を言ったら、春香は、素直には受け止めなかったかもしれません。
自分は、同情されている。気を遣われている。慰められている――と。
でも、今はそうじゃありません。
Pには、小鳥に同情する理由も、慰める理由も、ありません。

だから、自分の歌を聴いて「歌が好きなんですね」と言ってくれたPの言葉を、
何よりも嬉しい、自分を認めてくれた言葉として、受け入れることが出来ました。

そして、その言葉が、認められた想いが、春香の背中を押します。
その小さな一押しが、大きなドミノ倒しに繋がっていく訳ですね。

そして、ラストまで、もう一歩です。



 -  -  -  -  -  -  -  -  -  -  -  -

> ガルシアP曰く、春香は「周囲から固められてトップに立つアイドル」だそうです。

ここ、すごく誤解されそうで怖いなw
他者との関係性がとても重要なアイドル、という意味なんですが、
ここで書くと異常に長くなるはずなので、割愛します。
考えるんじゃない! 感じるんだ!

ガルシアP | 2010年06月10日(木) 21:36 | URL | コメント編集

>レシPさん

>ごちそうさまでした。
>なんと言うか、僕にはこういう方法しかなかったようですw

名料理人の腕前、たしかに頂戴させていただきました……!
出された料理が、料理そのものの味つけとは別のところで、
どこかふと「なつかしい味」とか「昔を思い出す味」を覚えるのは
寓話がまだまだ、ひよっこピッチャーだからかもしれません。

作品に関する感想は、のちのちじっくり語らせていただきますが、
ひとまずはコメント欄で、「ごちそうさま」を伝えさせていただきました。
「もしもの未来」なスピンオフ、嬉しかったです!ありがとうございました!


【追伸】
レシPから「寓話さん」呼びは、他人行儀過ぎて、正直どうにも慣れません。
「よう寓話P!元気か!」な、懐広くてカコイイ親父さんでいてくださいw

おそるおそる「寓話P」を名乗り出したころ、その名で呼んで下さった
レシPとgrossa氏、お二方に限ってのお願いごとです。
まだまだひよっこピッチャーですが、どうぞ末永く宜しくおねがいします!
寓話 | 2010年06月11日(金) 18:40 | URL | コメント編集

お、即時確保w
ではお言葉に甘えて

……ぐ……寓話……p...?

は、恥ずかしいじゃないバカアァ!

それはそれとして「ひよっこピッチャー」と聞くと
ひよこがいっぱい詰まったビアピッチャーを想像して
いたく癒されます。

閑話休題、以下平時進行。
またコメにて。
レシ | 2010年06月11日(金) 18:50 | URL | コメント編集

>レシPさん(その2)

>……ぐ……寓話……p...?
>は、恥ずかしいじゃないバカアァ!

はい、レシPのツンデレ一丁いただきましたー!!
さすが伊織派SS書き手は格がちがった……!


>それはそれとして「ひよっこピッチャー」と聞くと
>ひよこがいっぱい詰まったビアピッチャーを想像して
>いたく癒されます。

寓話が、ヒヨコがいっぱい詰まったビアピッチャーなら、
レシPは、ニワトリがどーんと入ったビアピッチャーですからな!w

コメント返しが速球だったので速球で返してみましたわあーい!!
寓話 | 2010年06月11日(金) 18:59 | URL | コメント編集

なんか呼ばれた気がしたんですが…。

それにしてもこのコメント欄の熱いこと!(もちろんいい意味で)
それだけこの作品にエネルギーが込められているっていうのが感じられます。
アイマスMAD作品を普段見ていても感じることですが、エネルギーの込められた作品は、それだけ多くの人にエネルギーを与えるんだなと思います。そしてそのエネルギーは様々な表現の形を取って伝わっていく…。
自分も熱のこもった作品に対して感想記事を書く時は、自分のエネルギーは全く減らないんですよね。頂いたエネルギーを全て火種にして心の赴くままに書くのみでよかったりします。
もちろんそのエネルギーの源泉は愛してやまないアイドルたちなんですけどね!

エネルギーを具現化する形は異なりますが、これからも相互にエネルギーを与え合う関係でありたいものですね!寓話P!

(恥ずかしがらずに言ってみた。まあ今までどおりなんですけどねっ。半休業中ですが今後ともよろしくお願い致します)
grossa | 2010年06月12日(土) 00:29 | URL | コメント編集

>grossaさん

>なんか呼ばれた気がしたんですが…。

き、気のせいじゃないですよー。いらっしゃいませgrossaさん!

>アイマスMAD作品を普段見ていても感じることですが、エネルギーの込められた作品は、
>それだけ多くの人にエネルギーを与えるんだなと思います。
>そしてそのエネルギーは様々な表現の形を取って伝わっていく…。

作品を見ていて伝わってくる熱いなにか、は動画もSSも共通しているんですよね。
製作者さんの熱にあてられて、「これはすごい……」「自分もなにか作りたい!」と
思うことが多々あります。いい意味で、周囲の人間が変革する、チェンジするような
影響をもつ作品に出合ったときは、心底胸が震えます。


>自分も熱のこもった作品に対して感想記事を書く時は、
>自分のエネルギーは全く減らないんですよね。
>頂いたエネルギーを全て火種にして心の赴くままに書くのみでよかったりします。
>もちろんそのエネルギーの源泉は愛してやまないアイドルたちなんですけどね!

長年ニコマスブロガーを務めているgrossaさんならではなご意見ですね。grossaさんの
紹介記事は、本当に好きで紹介しているんだなー、という気持ちが伝わってきます。
自分も音ゲープレイヤーなので、紹介される作品との距離が近いというのもありますが、
それを差し引いても、記事の端々から、作品と製作者さんと、登場アイドルの持ちうる
良さを推薦したいエネルギーをびしびしと感じます。いい意味で、時間ドロボウな記事
なんですよね。参った参った。とても嬉しいタイプの参った感です。


>エネルギーを具現化する形は異なりますが、
>これからも相互にエネルギーを与え合う関係でありたいものですね!寓話P!

雪歩スキーな方からのお言葉は、それだけで絶大なエネルギーですよ!
古い古い、雪歩スレSS時代からのお客様なら、輪を掛けてエネルギーの源泉です。
年月ばかり重ねてしまいましたが、中身はそれほど変わっておりません。
grossaさんにエネルギーを与えられるようなSSを書いていけるよう頑張りますね!

***

【おまけ的な裏話】

grossaさんとガルシアPには公開していたことなのですが、
本作を書くにあたって、寓話がお世話になっていた動画が、一つあります。

アイドルマスター 雪歩 changes(シラカワP)2008.06.02作品
http://www.nicovideo.jp/watch/sm3526687

とても素敵な作品です。もし宜しければご覧になってみてください。
本作のシナリオと、どこか近しい空気が感じられるかも知れません。
寓話 | 2010年06月12日(土) 03:46 | URL | コメント編集

イメージ。

実は、イメージモチーフになっている動画がある――。

ある晩、そう、聞かされた。
その動画は自分の好きな作品であり、主人公は雪歩だ、と。
あまり先入観は持って欲しくないから、どの動画かは言いません。
そんな風に、さらっと言われた。

「シラカワPの作品かな?」

ちょっと考えてから、聞いてみた。当たっていた。
当時は、【im@sストーリー系PV】というタグは無かった気がする。
でも、ダンスと曲、そしてしっかりとしたストーリーに裏打ちされた、
映像美の結晶のようなシラカワさんの作品は、大好きだった。
具体的にどの動画かは、当てられなかった。
ただ、タイトルを聞いて、「ああ、そっちか」と思った。
「サヨナラ、ふるい自分」
確か、そんな歌詞があった気がした。

執筆中に、その動画を改めて見直す事は、しなかった。
それこそ、動画の内容に引きずられては良くないと思った。
せっかく2人でやるんだから、視点はずれていたほうがいい。
別の道を通ってゴールを目指せば、見える景色が2倍になるから。

改めて、さぁ、どんな話にしようか、と考えた。
今回書くSSに、そんなシーンは無いのだけれど――。
雪歩がその言葉を自分に伝える映像。
そして、その言葉を春香に渡すシーンが、頭に浮かんだ。
春香よりも一足先に “変わった” 雪歩と、
これから “変わろう” とする春香の世界が広がった。
ガルシアP | 2010年06月13日(日) 20:49 | URL | コメント編集

制作中のこと。(タイトルロゴ編)

5/22~5/30の九日間をかけて完成させた本作ですが、
【Changes.】というタイトルが浮かんだのは、制作を開始して四日目のことでした。


【音無春香さんと天海小鳥さんの話(仮)】という名称でプロットを送信したのが初日。

「ちなみに、本作タイトルのイメージは?」とガルシアPに尋ねられ、
「なるべく短くて、意味が二つ以上あって」「コンティニューに近い言葉を」と答えたのが二日目。

「ロゴを作ってもらえませんか?」と、ガルシアPに襟を正して打診して
「タイトル決まり次第、元より作る気でいましたとも」と頼もしい返事を貰ったのが三日目でした。

(※『チェンジ』という言葉は、しばしば会話の中で出ていた単語でしたが
 それをタイトルに置く、という考えは、この時まだ寓話には有りませんでした)

***

そのころ四日目の寓話の作業は、プロット(旧)の番号で、5~6の執筆をしていたころ。
春香たちがデパート屋上に向かったあたりから、Pの前で春香が歌をうたうところまでです。
ガルシアPが散りばめた「泣かせまくるイベント」が山盛りゾーンだったので、
作業自体は転ぶことなくスムーズに進行していました。

「ロゴを作ってもらうのだから、それなりにカッチリした語呂がいいなあ」というのと
「『英単語』はまだ一度もタイトルに使ったことがないなあ」というのが、寓話の考えです。

文章で「あんな感じ」「こんな感じ」と説明することはできても、
頭の中にある「ロゴ」を、ガルシアPに見せることはできませんでした。

映像的なロゴ、という意味で、フォントが印象的なニコマスMADを繰り返しみていました。
コメントで先述している、シラカワPのMAD群で「あ、これは綺麗だ」と思った寓話は
空想メロウ→星に願いを→「the cookie crumbles」と視聴して、changes で止まりました。

寓話がイメージしている春香の姿に、一番近い雪歩に見えたのです。

***

タイトルを伝えた頃は、まだフォントもロゴも変化するなどという考えはなく、
ただ単純に「春香が小鳥さんと替わるから」「ダメダメだった春香が変わるから」と
二つの意味しか持たせていませんでした。

その頃ガルシアPが作ったロゴが、こちらです。
http://allegoryfactory.blog34.fc2.com/blog-entry-90.html

第一稿は全て赤字だったタイトルを、春香の「h」だけ赤くしたらどうだろうという流れで、
こちらは第二稿にあたるロゴだったかと思います。

まだ本文が途中だから、と、ロゴの話はこれから先、29日の深夜まで出ることはありません。

***

作品が完成し、「タイトル文字が虹色になったロゴ」というのが、第三稿の初期イメージです。
「カレイドマスター」のロゴが一番好きだ、という寓話の希望を汲んで頂きました。

「綺麗だ綺麗だ」と喜んでいたのもつかの間、ガルシアPがいち早く問題に気づきます。
冒頭のタイトルから「虹色」だと、いろいろと「ネタバレ」に繋がってしまうのです。

ガルシアPが改めて制作したのが、全てモノクロカラーの第三稿と、虹色カラーの第四稿。
「いっそのことロゴも二段重ねで行こう」というミラクルパスです。

これもまた、現在のロゴとはちょっと違いました。

全てモノクロなのも「なんだか怪しく見える」「隠し玉なのがバレそうだ」という理由で、
ガルシアPの手により「ちょっと錆色をつけた」モノクロカラーの第五稿に。

虹色カラーの第四稿は、「あ」「黒がない(真がいない)」という問題に気づいて、
改めて全色をカバーした、カラフルデイズカラーの第六稿に。

最終的には、この第五稿+第六稿が、本作のロゴになっています。
ロゴ職人のこだわりを見せていただきました。

***

ここでひとつ、ちょっとした偶然がおこります。

寓話が先に挙げた、シラカワPの動画を、ガルシアPは見ていません。

アイドルマスター 雪歩 changes(シラカワP)2008.06.02作品
http://www.nicovideo.jp/watch/sm3526687

この作品で寓話が最も好きな場面が「2:47」のシーンでした。

それまでの2分46秒を足場にして、この一秒で、全てがひっくり返ります。
はじめて拝見した時は「わあ!」「何が起きた!?」と背中に鳥肌がたちました。

***

ガルシアPは、動画を見ていません。
寓話が動画の「何」に対して「わあ!」となったのかを、教えていません。


ガルシアPから完成ロゴを受け取ったとき、寓話はまた、同じ気持ちになりました。
あれはとても面白い偶然だったなあ、と、未だに思うのです。
寓話 | 2010年06月15日(火) 23:37 | URL | コメント編集

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