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2010'08.24 (Tue)

『フラワーガール』

(※7月8日に肉塊さんと行った、skypeリレーSSのログです)

【概要】
・制限時間:60分
・使用キャラ縛りあり(今回は「律子」「小鳥」)
・起承転結のプロット縛りあり

 赤字→寓話 緑字→肉塊さん です。

【More】

「あ! 律子さん、律子さんっ」
 事務所に戻ってきたら、笑顔の小鳥さんに手招きされた。
「なんです?」

「見ましたよ~。先月撮ったグラビア!律子さんのウェディングドレス姿、素敵です!」
 そういえば、先月そんな仕事もあったっけ。

「も、もう!茶化さないでくださいよ!急に何かと思ったら!」
「いいなあ~。私もいつか、素敵な結婚してみたいなあ~」
「何か、理想のビジョンでも、あるんですか?」

「勿論、ありますとも!まずはですね…」
 小鳥さんの紡ぎ出すビジョンは、その後2時間続いた。
 内容といえば、それはもう、砂糖の分量間違えた春香のケーキよりも甘ったるくて、
 2日酔いのあずささんよりも明後日の方向に向かって一直線だった。

「それから、素敵なスポーツカーで凱旋して、スイートホームに帰って……」
「ああ、小鳥さん、小鳥さん」
 止めようとした私を、ロマン一色な小鳥さんが振り返る。

「律子さんは、どうなんですか?」
「ええ?わ、私はそういうのは…あんまり…」
 どうにかやってこの場をしのごうとしたけれど、目の前の瞳をハートマークにした2x歳の魔の手から逃れるすべは無いようだ…。

「そ、それにあれは仕事だからで。私がこんな、フリフリなドレスなんて不釣り合いですよ。
 相手の人だって気後れしちゃうかも。私はもっと、地味でハイソな感じが理想っていうか」
 ふんふん、と頷く小鳥さんを前に、私はすこしペースを取り戻した。脳内の想像図を口にする。

「式はそうですね、身内だけで質素に。和装よりは洋装の方がいいかな?
 …やっぱりドレス、着たいじゃないですか。
 披露宴は、ごくごく親しい友人知人だけのホームパーティー形式で…」

 斜め45度の辺りを眺めながら、私は幻想の結婚式を思い浮かべていた。
 周りには着飾った事務所のみんなや、カメラを手に取り囲む小鳥さんや社長の姿がある。
 そして私の隣には、隣には――。

「ふむふむ。●REC」
「何を録音しとるか、アンタはーーー!!」
 私は小鳥さんの持つICレコーダを取り上げ、全力で床に叩きつけ、踏みつけた。
 小鳥さん、これ絶対経費でなんか落としませんからね!

「せっかく律子さんの、理想の旦那様――ええっと、結婚式を聞けるところだったのになあ」
「わ、私そこまで理想は高くありませんから! 定職があって、ちょっと背が高くて、
 ちょっと私のことを気遣ってくれて、私の眼鏡が好きって言ってくれるような人なら誰でも」

 不敵な笑みを浮かべる小鳥さん。
「よろしい。では、不肖、この音無小鳥が日頃の事務作業の合間に開発した、
 『理想の男性探しプログラム』に登録した3万件の男性情報から、
 律子さんの理想の男性を検索してみましょう!」
「…小鳥さん、仕事してください…」

 ぴぴぴぴぴ……かちーん!「あっ」「えっ!?」
「律子さん、律子さんの理想の男性は、この近く! この事務所にいます!!」

「…て、どう見てもこの冴えない顔!プロデューサーじゃないですか!!」
「お嫌ですか?」
「い、いえ…まあ、あまりの2枚目じゃ毎日が緊張しちゃうし、顔はこれくらいのレベルの方が…。
 背だって私よりは高いし…その、つま先立ちして顔に届くくらい?
 まあ、定職も…といっても先が不安定だけど…その辺は私がフォローできるし…」

 私の頭のコンピューターが、プロデューサーと理想を天秤に掛けている。
 両者のバランスが等しくなりそうなのを、揺らしてしまうのは私だ。
「いやいやっ、でも、やっぱりダメ!……でもやっぱり……うーん、いやっ、ちょっと待って!」
 混乱する私の肩を、小鳥さんが叩いた。録音機材が壊れていても、澄み切った笑顔で。

「律子さん、素直になって?自分の素直な気持ち、邪険にしないで」
 そう言われて、ふと、自分の心に問いかける。
 心の奥にすっと浮かぶ理想の男性。冴えない表情でも、スーツがよれよれでも、どことなく頼りなさ気でも、
私のことを一番に考えてくれる、そんな男性…。きっと、世界中探したって、一人しかいない…。

「自分の気持ちに素直になったら、もっと素敵な答えが出るんじゃないかしら」
「小鳥さん……そうですね。……私、ちょっと意固地になってたかもしれません」
 うんうんと頷く小鳥さんの笑顔は、とても素敵だった。私も釣られて笑顔になってしまう。
 こういう笑顔が作れる、素敵な女性になれば、私だっていつかきっと、プロデューサーと……

「はい!いただきましたー!!“律子さんの素直な気持ち”いただきましたー!!」
 先ほどとは打って変わって「してやったり」とド汚いチンピラのような下卑た笑いを見せる小鳥さん。
「フフフ…レコーダーが1台だけなどと見誤るとは…まだまだ甘いですねぇ。ピヨピヨ…」

「なっ――小鳥さん、何を!?」
 うろたえる私を尻目に、小鳥さんは速やかな撤収作業を始めた。まだみんな帰ってこないのかしらー♪と
コーラスが聴こえる。私の頭は急沸する。
 まさかと思うけど、小鳥さん、あんなのプロデューサーに聞かせる気!?

「こ、小鳥さん…まさか、それ…プロデューサーに…?」
「ウフフ~。どうしようかしら~」
 この事務所に、まともな大人は、いない。

 小鳥さんは新しい空想に突入している。その背景には、華やかな花が見えた。妄想が進んでいる。いつ現実と手をつなぐかわからない、危険な妄想が。
「ことりさーーーーーーん!!!」
 脱兎のごとく逃げだした小鳥さんの足音は、私の怒号でかき消えた。

                                       (おしまい)


【まとめ】
・「テーマ:ことりつこ」と聞いて胸を滾らせる肉塊さん
・律子一人称のはずが、小鳥さんにばかり肩入れしていた寓話

 またやりましょうね!!
23:20  |  リレーSS  |  TB(0)  |  CM(3)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

wwwww

小鳥さん、仕事してくださいw


でもまあ、何だかんだ言っても二人は律子と小鳥さんはいいコンビですよね。
リレーならではのテンポの良さと、小気味いいリズムで、楽しませていただきました。
晴嵐改 | 2010年08月24日(火) 23:29 | URL | コメント編集

>晴嵐改さん

光の速さでコメントありがとうございますw
「仕事サボり中な小鳥さんと、それをたしなめつつ自爆する律子」
という仮組を立てた上で、肉塊さんと好きに突っ走ってみました。

「勢い」と「ノリ」が鮮度の決め手になるリレーSSですので、
サクッと読みきって「プッw」と笑って頂けましたら幸いです。
読んでくださってありがとうございました!
寓話 | 2010年08月25日(水) 01:19 | URL | コメント編集

晴嵐改さん

どうもです。

ログを見返すと、どうやら僕が可愛い乙女チックな律子さんを書く担当だった筈なのですが、どういう訳か、ダメ無小鳥さんを書く作業の方に熱が入ってしまいました。

リズム!リズムが大事!と思っていたら…どうしてこうなったのでしょう?おかしいなあ。
肉塊 | 2010年08月25日(水) 12:48 | URL | コメント編集

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